蔭日向。
気ままに落書きや小説を書いたり萌え語りしています。詳細は『復活しました!』という最古記事に。リンクからオリジナル小説、ポケ擬人化のまとめ記事に飛べます。
カテゴリー「novel」の記事一覧
- 2025.04.07
[PR]
- 2012.11.20
空青
- 2012.11.20
空青 2
- 2012.11.12
God+bless 5
- 2012.10.29
Space Fighters! 2
- 2012.10.11
God+bless 4
空青 2
- 2012/11/20 (Tue)
- novel |
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「何が『またね』だよ…。」
青年は1人で道を歩いていた。
「また会うかどうかも分からないのに。」
考えるのは、先程の奇妙な少女との出会い。
少女のとても綺麗な瞳が、嫌に頭に残っていた。
「…子供か。まだ何も知らない。」
これからあの綺麗な瞳も、下らない世界のせいで薄汚れて、光らなくなっていくんだろう。
それにしても、あんな何もない所に子供が1人なんて危険過ぎる。
「…ま、もう二度と関わることなんてないだろう。」
世界は広い。広過ぎて全てが下らない。
もうこの世界に、何か思うことも、思い残すことも、何もない。
汚れていく世界に、自分に、見て見ぬふりをしていく。
そう生きていくと、決めた。
「もう生きていけなくても、構わないけどな。」
人間いつかは死ぬのだから。
その時がやって来たときは、もう逆らったりしない。
今までは散々足掻いてきたその時を、今は淡々と待つだけなのだ。
「…綺麗な空だな。」
青過ぎる空が、世界にずっと広がっていた。
賑やかな町だった。
広い大通りにはたくさんの人がいる。
両端にはたくさんの店が並び、店主らしき人々が大声で道行く人々を呼び止める。
楽しそうに立ち話をする大人達や、真剣に買い物をする大人達。
大人の側で大人しくする子供達や、大人の隙間をはしゃぎながら走り抜ける子供達。
その中を1人の青年が歩いていた。
金色の髪と、薄い灰色の瞳をしている。
身体を長いコートで覆っていて、後ろから見ると短い金髪とコートと革靴しか見えない。
コートの袖に手を通すことはせず首の部分だけを止めて、コートをマントのように羽織っていた。
コートの下には鎧服を着ており、腰に長い剣を差していた。
小さな布鞄を背負うように持っているが、コートに隠れて後ろからは見えない。
先程、丘で1人寝転んでいて、突然少女に起こされて、またねと言われた青年だった。
「活気があって良い町だ。今日は此処に泊まろう。」
人々の笑顔を眺めながら、青年は宿を探すことにした。
宿を探して町を歩いていると、ある店の前に何やら人だかりができていた。
どうやら大変繁盛しているという訳ではなく、何か問題でもあったらしい。
青年に首を突っ込む気はなかったが、何となく近付いて話を伺ってみた。
「お嬢ちゃん、いい加減商売の邪魔だよ。買う気がないなら何処かに行ってくれ。」
その店にはたくさんの檻が並んでいた。
檻の大きさは大小様々だが、檻の中には色鮮やかな鳥達が一羽ずつ入れられていた。
どうやらこの辺りに生息する、色の綺麗な鳥達を捕まえて、ペットとして売っている店らしい。
「でも、みんな、こまってるよ。」
聞いたことのある言葉に、青年はぴくりと反応した。
「だから、何でお嬢ちゃんにそんなことが分かる?お嬢ちゃんはこいつ達の言うことが分かるとでも言うのか?」
「うん。みんな、こまってるよ。」
人々の隙間から、ふわふわとした綺麗な銀髪が見えた。
「変な子ねぇ。」「本当に。」
「一体何処の家の子供だろうか。見たことないな。」
「さっきから訳の分からないことばっかり言ってるんだって。」
店長と少女の周りに群がる人々が小さな声で話している。
店長は眉根を寄せて、先程より少し口調を強くして言った。
「そんなこと信じられるか。もう向こうに行け。二度と来るな。」
店長は少女の華奢な肩を掴むと、無理やり後ろを向かせて、背中を強く押した。
「わっ。」
背中を押された少女は、突っ張ることもできずにそのまま前に倒れる。
その先にいた人々が、倒れる少女を咄嗟に避けて、少女は地面に転んだ。
1人だけが、人々の群れで少女が見えなかったため、避けることなく、少女の前に立ったままだった。
少女が顔を上げると、そこには金髪で薄い灰色の瞳の青年が立っていた。
見事な再開を果たした2人だが、反応は全く違った。
青年はやっぱりさっきの奴か、という微妙な顔をしていた。
少女は見知った顔に瞳を輝かせ、嬉しそうな顔をしていた。
「さっきの!」
元気に立ち上がった少女に、青年は顔を引きつらせた。
「何だ、お兄さんの知り合いか?」
やはり、店長と周りの人々からの注目を受けてしまい、青年はため息をついた。
「その子をどうにかしてくれ。」
店長のうんざりした声に、青年はうんざりしたいのはこっちだと思いながら、知り合いではないと言おうと口を開いた。
「ねぇ、この子たちも、こまってるよ。」
しかしそれよりも早く、少女が青年に話し掛けた。
少女は店のたくさんの鳥達を指差している。
その様子を見た店長は、少女と青年を少し睨みながら言った。
「早くどっかに連れていけ。」
全くの無関係なのに、今更言っても無駄らしい。
青年はまた一つため息をつくと、少女の腕を引っ張り、店から遠ざけるために歩き出した。
「こまってる、のに。」
少女は嫌がり抵抗するも、青年の手を振りほどくことも、突っ張って耐えることもできない。
青年に引っ張られるままに、鳥達からどんどん離れていかせれる。
少女の耳に、一羽の鳥の鳴き声が聞こえた。
「………やだ!」
少女は力を込めて掴まれた腕を振ったが、青年の手は離れなかった。
少女の目に、薄ら涙が浮かんできた。
鳥達と店がぼやけて、はっきりと見えなくなって、
とうとう、店は見えなくなってしまったのだった。
青年は1人で道を歩いていた。
「また会うかどうかも分からないのに。」
考えるのは、先程の奇妙な少女との出会い。
少女のとても綺麗な瞳が、嫌に頭に残っていた。
「…子供か。まだ何も知らない。」
これからあの綺麗な瞳も、下らない世界のせいで薄汚れて、光らなくなっていくんだろう。
それにしても、あんな何もない所に子供が1人なんて危険過ぎる。
「…ま、もう二度と関わることなんてないだろう。」
世界は広い。広過ぎて全てが下らない。
もうこの世界に、何か思うことも、思い残すことも、何もない。
汚れていく世界に、自分に、見て見ぬふりをしていく。
そう生きていくと、決めた。
「もう生きていけなくても、構わないけどな。」
人間いつかは死ぬのだから。
その時がやって来たときは、もう逆らったりしない。
今までは散々足掻いてきたその時を、今は淡々と待つだけなのだ。
「…綺麗な空だな。」
青過ぎる空が、世界にずっと広がっていた。
賑やかな町だった。
広い大通りにはたくさんの人がいる。
両端にはたくさんの店が並び、店主らしき人々が大声で道行く人々を呼び止める。
楽しそうに立ち話をする大人達や、真剣に買い物をする大人達。
大人の側で大人しくする子供達や、大人の隙間をはしゃぎながら走り抜ける子供達。
その中を1人の青年が歩いていた。
金色の髪と、薄い灰色の瞳をしている。
身体を長いコートで覆っていて、後ろから見ると短い金髪とコートと革靴しか見えない。
コートの袖に手を通すことはせず首の部分だけを止めて、コートをマントのように羽織っていた。
コートの下には鎧服を着ており、腰に長い剣を差していた。
小さな布鞄を背負うように持っているが、コートに隠れて後ろからは見えない。
先程、丘で1人寝転んでいて、突然少女に起こされて、またねと言われた青年だった。
「活気があって良い町だ。今日は此処に泊まろう。」
人々の笑顔を眺めながら、青年は宿を探すことにした。
宿を探して町を歩いていると、ある店の前に何やら人だかりができていた。
どうやら大変繁盛しているという訳ではなく、何か問題でもあったらしい。
青年に首を突っ込む気はなかったが、何となく近付いて話を伺ってみた。
「お嬢ちゃん、いい加減商売の邪魔だよ。買う気がないなら何処かに行ってくれ。」
その店にはたくさんの檻が並んでいた。
檻の大きさは大小様々だが、檻の中には色鮮やかな鳥達が一羽ずつ入れられていた。
どうやらこの辺りに生息する、色の綺麗な鳥達を捕まえて、ペットとして売っている店らしい。
「でも、みんな、こまってるよ。」
聞いたことのある言葉に、青年はぴくりと反応した。
「だから、何でお嬢ちゃんにそんなことが分かる?お嬢ちゃんはこいつ達の言うことが分かるとでも言うのか?」
「うん。みんな、こまってるよ。」
人々の隙間から、ふわふわとした綺麗な銀髪が見えた。
「変な子ねぇ。」「本当に。」
「一体何処の家の子供だろうか。見たことないな。」
「さっきから訳の分からないことばっかり言ってるんだって。」
店長と少女の周りに群がる人々が小さな声で話している。
店長は眉根を寄せて、先程より少し口調を強くして言った。
「そんなこと信じられるか。もう向こうに行け。二度と来るな。」
店長は少女の華奢な肩を掴むと、無理やり後ろを向かせて、背中を強く押した。
「わっ。」
背中を押された少女は、突っ張ることもできずにそのまま前に倒れる。
その先にいた人々が、倒れる少女を咄嗟に避けて、少女は地面に転んだ。
1人だけが、人々の群れで少女が見えなかったため、避けることなく、少女の前に立ったままだった。
少女が顔を上げると、そこには金髪で薄い灰色の瞳の青年が立っていた。
見事な再開を果たした2人だが、反応は全く違った。
青年はやっぱりさっきの奴か、という微妙な顔をしていた。
少女は見知った顔に瞳を輝かせ、嬉しそうな顔をしていた。
「さっきの!」
元気に立ち上がった少女に、青年は顔を引きつらせた。
「何だ、お兄さんの知り合いか?」
やはり、店長と周りの人々からの注目を受けてしまい、青年はため息をついた。
「その子をどうにかしてくれ。」
店長のうんざりした声に、青年はうんざりしたいのはこっちだと思いながら、知り合いではないと言おうと口を開いた。
「ねぇ、この子たちも、こまってるよ。」
しかしそれよりも早く、少女が青年に話し掛けた。
少女は店のたくさんの鳥達を指差している。
その様子を見た店長は、少女と青年を少し睨みながら言った。
「早くどっかに連れていけ。」
全くの無関係なのに、今更言っても無駄らしい。
青年はまた一つため息をつくと、少女の腕を引っ張り、店から遠ざけるために歩き出した。
「こまってる、のに。」
少女は嫌がり抵抗するも、青年の手を振りほどくことも、突っ張って耐えることもできない。
青年に引っ張られるままに、鳥達からどんどん離れていかせれる。
少女の耳に、一羽の鳥の鳴き声が聞こえた。
「………やだ!」
少女は力を込めて掴まれた腕を振ったが、青年の手は離れなかった。
少女の目に、薄ら涙が浮かんできた。
鳥達と店がぼやけて、はっきりと見えなくなって、
とうとう、店は見えなくなってしまったのだった。
God+bless 5
- 2012/11/12 (Mon)
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「ん………。」
天井近くからある窓から柔らかな光が差し込んでいる。
硝子も鉄格子も無い質素な窓だが、空気の出入りと、朝が来たことを知る為ならこれでも十分だった。
明るさで目を覚ましたアレスは、部屋に一脚しかない椅子に座っていた。
普段使っているベッドには金髪の女性が気持ちよさそうに眠っていた。
「…今日も良い1日でありますように。」
とりあえず、首から下げる太陽のネックレスに祈りを捧げた。
「………。」
オルフェの金色の瞳がゆっくりと開く。
綺麗な瞳が最初に映したのは、赤い髪をした青年の後ろ姿だった。
どうやら朝食を準備しているらしい。
「おはよう。」
上半身をベッドから持ち上げたオルフェが挨拶をすると、アレスは笑顔で振り返った。
「おはようございます。ゆっくり寝れましたか?」
「うん。」
「良かったです。臭かったりしたらどうしようかって…。今朝食を用意しているので、…朝食と言ってもパンだけなんですが…。あ、先に顔を洗って来た方がいいかな。水道は扉を出て右側にあります。今新しい布を…。」
オルフェが机の上を見ると、丸いパンが4つ入った皿と、カップが1つだけ置かれていた。
「どうぞ、これを使って下さい。」
アレスに差し出された短めの布を取って、オルフェは外に出ていった。
アレスは1つため息をついたあと、用意した朝食を見て呟いた。
「こんなにパンを並べたの、久しぶりだなぁ…。」
オルフェが外に出ると、太陽がもうすっかり山から出ていて大地を照らしていた。
どうやら少し高い位置にあるアレスの家からは、住宅街が一望できるようだった。
少し離れた所に見える住宅街には、既に人が結構歩いていた。
その中に、色素が極端に薄い、髪色を見た。
「…っ!?」
反射的に口から息が洩れ、身体が強張った。
しかし瞬きをした次の瞬間には、目立つはずのその存在は、そこにはいなかった。
オルフェは咄嗟に、アレスの家の中に戻った。
バンッ!と大きな音を立てて扉を閉めたオルフェに、アレスは肩を跳ねらせて驚いた。
「ど、どうし…。」
扉の前に座り込んだオルフェに近付くと、オルフェはカタカタと震えていた。
「だ、大丈夫ですか?何かあったんですか?」
オルフェは震えるだけで答えない。
アレスは外で何かあったのかと思い、扉を開けようとノブに手を伸ばした。
「駄目!」
その手をオルフェが素早く止めた。
これまでの彼女にしては、とても大きく、高い声を出した。
アレスの腕を掴んだ手は、とても強い力で、冷えきっていた。
「…………。」
アレスはノブから手を離した。
何も言えなかった。何も言えずに、何かに震えるオルフェを見ていた。
「………痛っ…。」
アレスを掴んだ方とは逆の手で、オルフェは包帯が巻かれた足に触れた。
急に昨晩痛めた足が、昨晩よりも酷く痛み始めた。痛みに歪めた顔に、冷や汗が伝った。
「あ…、だ、大丈夫ですか!?」
我を取り戻したアレスが慌ててオルフェを抱えて、ベッドまで戻した。
オルフェをベッドに座らせて、包帯を巻いた足をとると、そこだけ酷く熱を帯びていた。
咄嗟に、机に置いてあった濡れた布を足に当てて冷やそうとする。
それは、アレスが顔を洗ったときに使ったものだったが、今は忘れてしまっていた。
「あ、あの……。」
アレスは混乱したままだったが、震えるオルフェを少しでも落ち着かせるために声をかけようとした。
その時、
こん こん
「「っ…!?」」
突如聞こえたノックに2人で身体を固まらせた。
こん こん
再び聞こえたノック音。
アレスはそっと扉を見やった。
オルフェが再びアレスの腕を掴む。
「…………。」
無言で首を必死に左右に振るオルフェを見て、
アレスはその場から全く動けないでいた。
ノック音が再び鳴ることは、無かった。
「「………。」」
そのまま2人して黙っていた。
妙に長い時間が経った気がした。
「………あ、あの」
アレスが何とか口を開いた。
しかしオルフェはアレスの言葉に身体を跳ねらせると、ベッドに倒れこんでしまった。
「えっ…、オ、オルフェ…!?」
オルフェは気を失っていた。
アレスがその場から動けるようになったのは、暫く後だった。
天井近くからある窓から柔らかな光が差し込んでいる。
硝子も鉄格子も無い質素な窓だが、空気の出入りと、朝が来たことを知る為ならこれでも十分だった。
明るさで目を覚ましたアレスは、部屋に一脚しかない椅子に座っていた。
普段使っているベッドには金髪の女性が気持ちよさそうに眠っていた。
「…今日も良い1日でありますように。」
とりあえず、首から下げる太陽のネックレスに祈りを捧げた。
「………。」
オルフェの金色の瞳がゆっくりと開く。
綺麗な瞳が最初に映したのは、赤い髪をした青年の後ろ姿だった。
どうやら朝食を準備しているらしい。
「おはよう。」
上半身をベッドから持ち上げたオルフェが挨拶をすると、アレスは笑顔で振り返った。
「おはようございます。ゆっくり寝れましたか?」
「うん。」
「良かったです。臭かったりしたらどうしようかって…。今朝食を用意しているので、…朝食と言ってもパンだけなんですが…。あ、先に顔を洗って来た方がいいかな。水道は扉を出て右側にあります。今新しい布を…。」
オルフェが机の上を見ると、丸いパンが4つ入った皿と、カップが1つだけ置かれていた。
「どうぞ、これを使って下さい。」
アレスに差し出された短めの布を取って、オルフェは外に出ていった。
アレスは1つため息をついたあと、用意した朝食を見て呟いた。
「こんなにパンを並べたの、久しぶりだなぁ…。」
オルフェが外に出ると、太陽がもうすっかり山から出ていて大地を照らしていた。
どうやら少し高い位置にあるアレスの家からは、住宅街が一望できるようだった。
少し離れた所に見える住宅街には、既に人が結構歩いていた。
その中に、色素が極端に薄い、髪色を見た。
「…っ!?」
反射的に口から息が洩れ、身体が強張った。
しかし瞬きをした次の瞬間には、目立つはずのその存在は、そこにはいなかった。
オルフェは咄嗟に、アレスの家の中に戻った。
バンッ!と大きな音を立てて扉を閉めたオルフェに、アレスは肩を跳ねらせて驚いた。
「ど、どうし…。」
扉の前に座り込んだオルフェに近付くと、オルフェはカタカタと震えていた。
「だ、大丈夫ですか?何かあったんですか?」
オルフェは震えるだけで答えない。
アレスは外で何かあったのかと思い、扉を開けようとノブに手を伸ばした。
「駄目!」
その手をオルフェが素早く止めた。
これまでの彼女にしては、とても大きく、高い声を出した。
アレスの腕を掴んだ手は、とても強い力で、冷えきっていた。
「…………。」
アレスはノブから手を離した。
何も言えなかった。何も言えずに、何かに震えるオルフェを見ていた。
「………痛っ…。」
アレスを掴んだ方とは逆の手で、オルフェは包帯が巻かれた足に触れた。
急に昨晩痛めた足が、昨晩よりも酷く痛み始めた。痛みに歪めた顔に、冷や汗が伝った。
「あ…、だ、大丈夫ですか!?」
我を取り戻したアレスが慌ててオルフェを抱えて、ベッドまで戻した。
オルフェをベッドに座らせて、包帯を巻いた足をとると、そこだけ酷く熱を帯びていた。
咄嗟に、机に置いてあった濡れた布を足に当てて冷やそうとする。
それは、アレスが顔を洗ったときに使ったものだったが、今は忘れてしまっていた。
「あ、あの……。」
アレスは混乱したままだったが、震えるオルフェを少しでも落ち着かせるために声をかけようとした。
その時、
こん こん
「「っ…!?」」
突如聞こえたノックに2人で身体を固まらせた。
こん こん
再び聞こえたノック音。
アレスはそっと扉を見やった。
オルフェが再びアレスの腕を掴む。
「…………。」
無言で首を必死に左右に振るオルフェを見て、
アレスはその場から全く動けないでいた。
ノック音が再び鳴ることは、無かった。
「「………。」」
そのまま2人して黙っていた。
妙に長い時間が経った気がした。
「………あ、あの」
アレスが何とか口を開いた。
しかしオルフェはアレスの言葉に身体を跳ねらせると、ベッドに倒れこんでしまった。
「えっ…、オ、オルフェ…!?」
オルフェは気を失っていた。
アレスがその場から動けるようになったのは、暫く後だった。
Space Fighters! 2
- 2012/10/29 (Mon)
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「ちょっと待って!ちょっと待って!」
「さっきから五月蝿いんだけど。」
「ここ…どこ…!?」
美優と赤髪の青年を乗せた乗り物は、真っ暗な空間を移動していた。
光も何もない、ひたすら闇に包まれた世界。
たまにゴツゴツとした岩を抜かしていくだけだ。
青年に無理矢理乗り物に連れ込まれた美優は、
きつい耳鳴りに襲われたと思った次の瞬間、既に闇の世界にいたのだった。
「何、ここ…。私、一体どうしたの…?ちょっと待ってぇ!」
さっきからパニック状態で、待ってと何処を繰り返していた美優は、
あたふたしているうちに隣に座る青年と目が合った。
「………あなた…誰…?」
「…………。」
眉間に皺を寄せて目を細めた青年を見て、美優は恐怖に震えた。
「………俺は、マーズ。」
そう言われてから、質問に答えてくれたのだと美優が分かったのは数秒後だった。
「………マーズ…?火星?」
「…本当に何も覚えてないのか?」
「え?何が…?」
「…………。」
マーズと名乗った黙り込んだ青年は、少し悲しそうな顔をした。
「…あ、あの……、ごめんなさい…。」
その横顔を見た美優は反射的に謝った。
「………ま、別に良いか。今度は俺が教えれば良いだけだし。」
再び目が合った青年の顔は、優しい微笑みを浮かべていた。
「…………。」
その笑顔を見た美優は目を見開いて、頬を少しだけ桃色に染めた。
「………くしゅっ。」
美優は寒気を感じてくしゃみが出た。
恥ずかしさで頬は桃から赤へと色を変えた。
「…そんな寒そうな地味な服着てるからだろ。」
美優の格好はグレーのTシャツと丈の短い黒のズボン、そして裸足。
改めて自分の服装を見た美優は、更に顔を赤くした。
「こっ、これは!あなたがいきなり来たからで…!私はもう寝るところだったの!ふ、普段はもっと、ちゃんとしてるんだから…!」
「はいはい。」
マーズはにやにや笑っていた。
「本当だもん…!」
「後ろに毛布があるから着てれば。」
美優が後ろを見ると、座席の後ろに少しだけスペースがあって、何か色々置かれていた。
その中から薄い茶色の毛布をゆっくり引っ張り出す。
「じゃあ…お借りします。」
一人用らしい薄い毛布を肩から羽織って身体を包んだ。
「あの…、ここはどこなんでしょう…。」
「何処って言われても…。めっちゃくちゃ広いからな…。」
「広い?」
「しいて言うなら、地球と金星の間?」
「………え?」
「何もないし、具体的な距離は分からないなー。」
「…………。」
「どうした?まさか地球と金星も忘れちまったのか?しょうがないな。地球ってのは太陽から3番目の惑星で――…」
「………マーズ…?」
「ん?何?」
「………いや、嘘でしょう…?まさか、う、宇宙…なんて、ことは」
「…アース?顔色悪いけど…。」
マーズが美優の顔を覗き込むと、美優は咄嗟にマーズから距離をとった。
びたん、と背中をぶつけ、2人分の座席と荷物スペースしかない狭い乗り物の中、ギリギリまで離れた。
「………あ、あなたは、一体…何者…?」
毛布を借りて暖かいはずの身体が、がくがくと震えていた。
「スペース・ファイター、火星の“ マーズ ”。」
「す、すぺーす…、ふぁいたぁ…?」
「宇宙を護るために各惑星から選ばれた精鋭達。俺は火星の代表。」
「宇宙を…まもる…?」
「そして、アース。お前は地球の代表だ。」
「………え?」
「アースも、ファイターの1人なんだよ。」
―――ああ、もう。わけが、わからない。
「さっきから五月蝿いんだけど。」
「ここ…どこ…!?」
美優と赤髪の青年を乗せた乗り物は、真っ暗な空間を移動していた。
光も何もない、ひたすら闇に包まれた世界。
たまにゴツゴツとした岩を抜かしていくだけだ。
青年に無理矢理乗り物に連れ込まれた美優は、
きつい耳鳴りに襲われたと思った次の瞬間、既に闇の世界にいたのだった。
「何、ここ…。私、一体どうしたの…?ちょっと待ってぇ!」
さっきからパニック状態で、待ってと何処を繰り返していた美優は、
あたふたしているうちに隣に座る青年と目が合った。
「………あなた…誰…?」
「…………。」
眉間に皺を寄せて目を細めた青年を見て、美優は恐怖に震えた。
「………俺は、マーズ。」
そう言われてから、質問に答えてくれたのだと美優が分かったのは数秒後だった。
「………マーズ…?火星?」
「…本当に何も覚えてないのか?」
「え?何が…?」
「…………。」
マーズと名乗った黙り込んだ青年は、少し悲しそうな顔をした。
「…あ、あの……、ごめんなさい…。」
その横顔を見た美優は反射的に謝った。
「………ま、別に良いか。今度は俺が教えれば良いだけだし。」
再び目が合った青年の顔は、優しい微笑みを浮かべていた。
「…………。」
その笑顔を見た美優は目を見開いて、頬を少しだけ桃色に染めた。
「………くしゅっ。」
美優は寒気を感じてくしゃみが出た。
恥ずかしさで頬は桃から赤へと色を変えた。
「…そんな寒そうな地味な服着てるからだろ。」
美優の格好はグレーのTシャツと丈の短い黒のズボン、そして裸足。
改めて自分の服装を見た美優は、更に顔を赤くした。
「こっ、これは!あなたがいきなり来たからで…!私はもう寝るところだったの!ふ、普段はもっと、ちゃんとしてるんだから…!」
「はいはい。」
マーズはにやにや笑っていた。
「本当だもん…!」
「後ろに毛布があるから着てれば。」
美優が後ろを見ると、座席の後ろに少しだけスペースがあって、何か色々置かれていた。
その中から薄い茶色の毛布をゆっくり引っ張り出す。
「じゃあ…お借りします。」
一人用らしい薄い毛布を肩から羽織って身体を包んだ。
「あの…、ここはどこなんでしょう…。」
「何処って言われても…。めっちゃくちゃ広いからな…。」
「広い?」
「しいて言うなら、地球と金星の間?」
「………え?」
「何もないし、具体的な距離は分からないなー。」
「…………。」
「どうした?まさか地球と金星も忘れちまったのか?しょうがないな。地球ってのは太陽から3番目の惑星で――…」
「………マーズ…?」
「ん?何?」
「………いや、嘘でしょう…?まさか、う、宇宙…なんて、ことは」
「…アース?顔色悪いけど…。」
マーズが美優の顔を覗き込むと、美優は咄嗟にマーズから距離をとった。
びたん、と背中をぶつけ、2人分の座席と荷物スペースしかない狭い乗り物の中、ギリギリまで離れた。
「………あ、あなたは、一体…何者…?」
毛布を借りて暖かいはずの身体が、がくがくと震えていた。
「スペース・ファイター、火星の“ マーズ ”。」
「す、すぺーす…、ふぁいたぁ…?」
「宇宙を護るために各惑星から選ばれた精鋭達。俺は火星の代表。」
「宇宙を…まもる…?」
「そして、アース。お前は地球の代表だ。」
「………え?」
「アースも、ファイターの1人なんだよ。」
―――ああ、もう。わけが、わからない。
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- 2012/10/11 (Thu)
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「………。」
「………。」
沈黙。
ベッドに腰掛けるアレスも、
布を被って椅子に座る女性も。
ただただ何だか気まずい雰囲気が流れていた。
先程までは女性に丁寧に怪我の手当てをしていたアレスだったが、
それ以外するべきことも思い付かず、何か話すことも思い付かず、
それどころか部屋に女性を入れたことはおろか、女性と2人になることも初めてで、
どう接したら良いのかも分からず目の前の女性に戸惑っていた。
女性は女性で、何も話さないし、座った椅子から動かずに身動ぎすらしていなかった。
しかし此方は、アレスに戸惑っているようではなく、何か考え事をしているように見えた。
「………あ、あの…。」
先に口を開いたのはアレスだった。
女性が顔だけをアレスに向けた。
「えっと………、貴女は……。」
また暫く沈黙が続いて、
「あ…、もし宜しければお名前を…。女性に名前とか気軽に聞くのはどうかとも思うのですけど、ずっと貴女と呼ぶのもどうかと思って…。あ、嫌なら良いんですよ!無理にとは言いませんけど………あ、お、俺はアレスと言います!す、すいません、気が回らなくて今更名乗って…。」
1人でおどおどして慌てて凹むアレスを見て、
女性は椅子に横に座り直し、身体をアレスの方に向けた。
そして、頭に被っていた布を緩めて肩まで下げた。
女性は暗がりでも分かる綺麗な金髪をしていた。
肩に付くか付かないかくらいのアレスよりも短い髪だった。
日に焼けたアレスの肌とは違い、女性らしい白い肌の顔。
何よりも目を惹かれるのは、大きな神々しい金色の瞳。
「オルフェ。」
アレスは暫くきらきらと輝く瞳を見て、見つめて、はっとして、
「あ、す、すいません。」
女性と数秒間見つめ合ったことに少し恥ずかしくなった。
何かついさっきもあったなこんなこと、とか思った。
「あ、ありがとう。オルフェさん…ですか。えっと………、オルフェさんは何処に住んでいますか?明日朝になったら家まで送ろうかと思うんですけど…。」
話し掛けたときに言いそびれたことを自信なさげに聞いた。
「…家は………。」
黙り込んだオルフェにアレスは再び慌てて、
「あ、や、やっぱり嫌ですよね!見ず知らずの人に家とか聞かれるなんて…。本当にすいませ…。」
「嫌じゃない。」
「えっ………。」
「けど、迷惑をかけるのは嫌だ。」
「俺なら全然大丈夫です。迷惑とか思いません。そもそも怪我をさせてしまったのは俺だし…。」
「いや、………。」
2人は再び黙り込む。
「………大丈夫だ。」
先に口を開いたのはオルフェだった。
「明日1人で帰るから。」
「でも足が…。」
「平気だ。これくらい。」
そう言うとオルフェは立ち上がって、アレスが座るベッドに近寄り、そのままベッドに上がって寝転んだ。
アレスは驚きと戸惑いと恥ずかしいのと、ぐるぐる混ざっていて何も動けなかった。
「お休み。アレス。」
オルフェそのまま目を瞑り、すぐに寝息をたて始めてしまった。
「………お休み。」
アレスはただ挨拶を返すことしかできなかった。
「………。」
沈黙。
ベッドに腰掛けるアレスも、
布を被って椅子に座る女性も。
ただただ何だか気まずい雰囲気が流れていた。
先程までは女性に丁寧に怪我の手当てをしていたアレスだったが、
それ以外するべきことも思い付かず、何か話すことも思い付かず、
それどころか部屋に女性を入れたことはおろか、女性と2人になることも初めてで、
どう接したら良いのかも分からず目の前の女性に戸惑っていた。
女性は女性で、何も話さないし、座った椅子から動かずに身動ぎすらしていなかった。
しかし此方は、アレスに戸惑っているようではなく、何か考え事をしているように見えた。
「………あ、あの…。」
先に口を開いたのはアレスだった。
女性が顔だけをアレスに向けた。
「えっと………、貴女は……。」
また暫く沈黙が続いて、
「あ…、もし宜しければお名前を…。女性に名前とか気軽に聞くのはどうかとも思うのですけど、ずっと貴女と呼ぶのもどうかと思って…。あ、嫌なら良いんですよ!無理にとは言いませんけど………あ、お、俺はアレスと言います!す、すいません、気が回らなくて今更名乗って…。」
1人でおどおどして慌てて凹むアレスを見て、
女性は椅子に横に座り直し、身体をアレスの方に向けた。
そして、頭に被っていた布を緩めて肩まで下げた。
女性は暗がりでも分かる綺麗な金髪をしていた。
肩に付くか付かないかくらいのアレスよりも短い髪だった。
日に焼けたアレスの肌とは違い、女性らしい白い肌の顔。
何よりも目を惹かれるのは、大きな神々しい金色の瞳。
「オルフェ。」
アレスは暫くきらきらと輝く瞳を見て、見つめて、はっとして、
「あ、す、すいません。」
女性と数秒間見つめ合ったことに少し恥ずかしくなった。
何かついさっきもあったなこんなこと、とか思った。
「あ、ありがとう。オルフェさん…ですか。えっと………、オルフェさんは何処に住んでいますか?明日朝になったら家まで送ろうかと思うんですけど…。」
話し掛けたときに言いそびれたことを自信なさげに聞いた。
「…家は………。」
黙り込んだオルフェにアレスは再び慌てて、
「あ、や、やっぱり嫌ですよね!見ず知らずの人に家とか聞かれるなんて…。本当にすいませ…。」
「嫌じゃない。」
「えっ………。」
「けど、迷惑をかけるのは嫌だ。」
「俺なら全然大丈夫です。迷惑とか思いません。そもそも怪我をさせてしまったのは俺だし…。」
「いや、………。」
2人は再び黙り込む。
「………大丈夫だ。」
先に口を開いたのはオルフェだった。
「明日1人で帰るから。」
「でも足が…。」
「平気だ。これくらい。」
そう言うとオルフェは立ち上がって、アレスが座るベッドに近寄り、そのままベッドに上がって寝転んだ。
アレスは驚きと戸惑いと恥ずかしいのと、ぐるぐる混ざっていて何も動けなかった。
「お休み。アレス。」
オルフェそのまま目を瞑り、すぐに寝息をたて始めてしまった。
「………お休み。」
アレスはただ挨拶を返すことしかできなかった。
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HN:
日蔭
性別:
女性
自己紹介:
毎日のんびりマイペースに過ごす学生です。
ポケモン、APH、キノの旅、牧場物語、ゼルダの伝説など大好物増殖中。
基本的にキャラ単体萌え。かっこかわいい方に非常に弱い。女の子ならボーイッシュな子がクリティカルヒット。カプに関してはノマカプ萌えですがたまに腐るかもしれない。
現在6つのオリジナル小説を亀更新中。書きたいのいっぱいありすぎてどれも手が回ってない。
絶賛ポケ擬人化再熱中!!デザインが来い。
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