蔭日向。
気ままに落書きや小説を書いたり萌え語りしています。詳細は『復活しました!』という最古記事に。リンクからオリジナル小説、ポケ擬人化のまとめ記事に飛べます。
God+bless 5
- 2012/11/12 (Mon)
- novel |
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「ん………。」
天井近くからある窓から柔らかな光が差し込んでいる。
硝子も鉄格子も無い質素な窓だが、空気の出入りと、朝が来たことを知る為ならこれでも十分だった。
明るさで目を覚ましたアレスは、部屋に一脚しかない椅子に座っていた。
普段使っているベッドには金髪の女性が気持ちよさそうに眠っていた。
「…今日も良い1日でありますように。」
とりあえず、首から下げる太陽のネックレスに祈りを捧げた。
「………。」
オルフェの金色の瞳がゆっくりと開く。
綺麗な瞳が最初に映したのは、赤い髪をした青年の後ろ姿だった。
どうやら朝食を準備しているらしい。
「おはよう。」
上半身をベッドから持ち上げたオルフェが挨拶をすると、アレスは笑顔で振り返った。
「おはようございます。ゆっくり寝れましたか?」
「うん。」
「良かったです。臭かったりしたらどうしようかって…。今朝食を用意しているので、…朝食と言ってもパンだけなんですが…。あ、先に顔を洗って来た方がいいかな。水道は扉を出て右側にあります。今新しい布を…。」
オルフェが机の上を見ると、丸いパンが4つ入った皿と、カップが1つだけ置かれていた。
「どうぞ、これを使って下さい。」
アレスに差し出された短めの布を取って、オルフェは外に出ていった。
アレスは1つため息をついたあと、用意した朝食を見て呟いた。
「こんなにパンを並べたの、久しぶりだなぁ…。」
オルフェが外に出ると、太陽がもうすっかり山から出ていて大地を照らしていた。
どうやら少し高い位置にあるアレスの家からは、住宅街が一望できるようだった。
少し離れた所に見える住宅街には、既に人が結構歩いていた。
その中に、色素が極端に薄い、髪色を見た。
「…っ!?」
反射的に口から息が洩れ、身体が強張った。
しかし瞬きをした次の瞬間には、目立つはずのその存在は、そこにはいなかった。
オルフェは咄嗟に、アレスの家の中に戻った。
バンッ!と大きな音を立てて扉を閉めたオルフェに、アレスは肩を跳ねらせて驚いた。
「ど、どうし…。」
扉の前に座り込んだオルフェに近付くと、オルフェはカタカタと震えていた。
「だ、大丈夫ですか?何かあったんですか?」
オルフェは震えるだけで答えない。
アレスは外で何かあったのかと思い、扉を開けようとノブに手を伸ばした。
「駄目!」
その手をオルフェが素早く止めた。
これまでの彼女にしては、とても大きく、高い声を出した。
アレスの腕を掴んだ手は、とても強い力で、冷えきっていた。
「…………。」
アレスはノブから手を離した。
何も言えなかった。何も言えずに、何かに震えるオルフェを見ていた。
「………痛っ…。」
アレスを掴んだ方とは逆の手で、オルフェは包帯が巻かれた足に触れた。
急に昨晩痛めた足が、昨晩よりも酷く痛み始めた。痛みに歪めた顔に、冷や汗が伝った。
「あ…、だ、大丈夫ですか!?」
我を取り戻したアレスが慌ててオルフェを抱えて、ベッドまで戻した。
オルフェをベッドに座らせて、包帯を巻いた足をとると、そこだけ酷く熱を帯びていた。
咄嗟に、机に置いてあった濡れた布を足に当てて冷やそうとする。
それは、アレスが顔を洗ったときに使ったものだったが、今は忘れてしまっていた。
「あ、あの……。」
アレスは混乱したままだったが、震えるオルフェを少しでも落ち着かせるために声をかけようとした。
その時、
こん こん
「「っ…!?」」
突如聞こえたノックに2人で身体を固まらせた。
こん こん
再び聞こえたノック音。
アレスはそっと扉を見やった。
オルフェが再びアレスの腕を掴む。
「…………。」
無言で首を必死に左右に振るオルフェを見て、
アレスはその場から全く動けないでいた。
ノック音が再び鳴ることは、無かった。
「「………。」」
そのまま2人して黙っていた。
妙に長い時間が経った気がした。
「………あ、あの」
アレスが何とか口を開いた。
しかしオルフェはアレスの言葉に身体を跳ねらせると、ベッドに倒れこんでしまった。
「えっ…、オ、オルフェ…!?」
オルフェは気を失っていた。
アレスがその場から動けるようになったのは、暫く後だった。
天井近くからある窓から柔らかな光が差し込んでいる。
硝子も鉄格子も無い質素な窓だが、空気の出入りと、朝が来たことを知る為ならこれでも十分だった。
明るさで目を覚ましたアレスは、部屋に一脚しかない椅子に座っていた。
普段使っているベッドには金髪の女性が気持ちよさそうに眠っていた。
「…今日も良い1日でありますように。」
とりあえず、首から下げる太陽のネックレスに祈りを捧げた。
「………。」
オルフェの金色の瞳がゆっくりと開く。
綺麗な瞳が最初に映したのは、赤い髪をした青年の後ろ姿だった。
どうやら朝食を準備しているらしい。
「おはよう。」
上半身をベッドから持ち上げたオルフェが挨拶をすると、アレスは笑顔で振り返った。
「おはようございます。ゆっくり寝れましたか?」
「うん。」
「良かったです。臭かったりしたらどうしようかって…。今朝食を用意しているので、…朝食と言ってもパンだけなんですが…。あ、先に顔を洗って来た方がいいかな。水道は扉を出て右側にあります。今新しい布を…。」
オルフェが机の上を見ると、丸いパンが4つ入った皿と、カップが1つだけ置かれていた。
「どうぞ、これを使って下さい。」
アレスに差し出された短めの布を取って、オルフェは外に出ていった。
アレスは1つため息をついたあと、用意した朝食を見て呟いた。
「こんなにパンを並べたの、久しぶりだなぁ…。」
オルフェが外に出ると、太陽がもうすっかり山から出ていて大地を照らしていた。
どうやら少し高い位置にあるアレスの家からは、住宅街が一望できるようだった。
少し離れた所に見える住宅街には、既に人が結構歩いていた。
その中に、色素が極端に薄い、髪色を見た。
「…っ!?」
反射的に口から息が洩れ、身体が強張った。
しかし瞬きをした次の瞬間には、目立つはずのその存在は、そこにはいなかった。
オルフェは咄嗟に、アレスの家の中に戻った。
バンッ!と大きな音を立てて扉を閉めたオルフェに、アレスは肩を跳ねらせて驚いた。
「ど、どうし…。」
扉の前に座り込んだオルフェに近付くと、オルフェはカタカタと震えていた。
「だ、大丈夫ですか?何かあったんですか?」
オルフェは震えるだけで答えない。
アレスは外で何かあったのかと思い、扉を開けようとノブに手を伸ばした。
「駄目!」
その手をオルフェが素早く止めた。
これまでの彼女にしては、とても大きく、高い声を出した。
アレスの腕を掴んだ手は、とても強い力で、冷えきっていた。
「…………。」
アレスはノブから手を離した。
何も言えなかった。何も言えずに、何かに震えるオルフェを見ていた。
「………痛っ…。」
アレスを掴んだ方とは逆の手で、オルフェは包帯が巻かれた足に触れた。
急に昨晩痛めた足が、昨晩よりも酷く痛み始めた。痛みに歪めた顔に、冷や汗が伝った。
「あ…、だ、大丈夫ですか!?」
我を取り戻したアレスが慌ててオルフェを抱えて、ベッドまで戻した。
オルフェをベッドに座らせて、包帯を巻いた足をとると、そこだけ酷く熱を帯びていた。
咄嗟に、机に置いてあった濡れた布を足に当てて冷やそうとする。
それは、アレスが顔を洗ったときに使ったものだったが、今は忘れてしまっていた。
「あ、あの……。」
アレスは混乱したままだったが、震えるオルフェを少しでも落ち着かせるために声をかけようとした。
その時、
こん こん
「「っ…!?」」
突如聞こえたノックに2人で身体を固まらせた。
こん こん
再び聞こえたノック音。
アレスはそっと扉を見やった。
オルフェが再びアレスの腕を掴む。
「…………。」
無言で首を必死に左右に振るオルフェを見て、
アレスはその場から全く動けないでいた。
ノック音が再び鳴ることは、無かった。
「「………。」」
そのまま2人して黙っていた。
妙に長い時間が経った気がした。
「………あ、あの」
アレスが何とか口を開いた。
しかしオルフェはアレスの言葉に身体を跳ねらせると、ベッドに倒れこんでしまった。
「えっ…、オ、オルフェ…!?」
オルフェは気を失っていた。
アレスがその場から動けるようになったのは、暫く後だった。
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HN:
日蔭
性別:
女性
自己紹介:
毎日のんびりマイペースに過ごす学生です。
ポケモン、APH、キノの旅、牧場物語、ゼルダの伝説など大好物増殖中。
基本的にキャラ単体萌え。かっこかわいい方に非常に弱い。女の子ならボーイッシュな子がクリティカルヒット。カプに関してはノマカプ萌えですがたまに腐るかもしれない。
現在6つのオリジナル小説を亀更新中。書きたいのいっぱいありすぎてどれも手が回ってない。
絶賛ポケ擬人化再熱中!!デザインが来い。
ポケモン、APH、キノの旅、牧場物語、ゼルダの伝説など大好物増殖中。
基本的にキャラ単体萌え。かっこかわいい方に非常に弱い。女の子ならボーイッシュな子がクリティカルヒット。カプに関してはノマカプ萌えですがたまに腐るかもしれない。
現在6つのオリジナル小説を亀更新中。書きたいのいっぱいありすぎてどれも手が回ってない。
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