蔭日向。
気ままに落書きや小説を書いたり萌え語りしています。詳細は『復活しました!』という最古記事に。リンクからオリジナル小説、ポケ擬人化のまとめ記事に飛べます。
10DAY's Limit 8
- 2012/03/01 (Thu)
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「きゃああああああ!」
「!?」
突然の悲鳴に、びくりと身体が震えた。
咄嗟に声のした方を見ると、そこには子供達と3人組の男達がいた。
「ご、ごめんなさいっ!ごめんなさい!」
「ごめんなさいで済むと思ってんのか!?糞餓鬼!」
何があったのか確かめる為、ちょっと近付いてみる。
かなり怖いけど…多分見えないだろうし…大丈夫だ。
「ううっ…。ぐすっ…。た、助けて……。」
真ん中の男に1人の女の子が片手で持ち上げられていた。
残りの子供達はかなり怯えながらその子を見上げている。
公園には他にも数人の人がいたが、皆悲鳴とその光景に驚いているようだった。
「こんなところでギャーギャー騒いで遊びやがって…。」
「ちょっと教えてやった方が良いんじゃねぇの?」
のんびり平和だった公園が、緊張に呑まれていく。
「やぁれやれ。こいつらろくな死に方しねぇな。」
そんな雰囲気を打ち壊したのは楽しそうな声。
「ボールがぶつかっただけなのによぉ。」
「お前…。見てたのか。」
小さい死神が俺の横をふわふわ浮いていた。
「テメェが助けてやれよ。」
「そりゃ、助けてやりたいけど…この身体じゃどうすることも…。」
死神が此方を向いて、ニヤリと笑った。
「あれだ。」
死神が指差したその先には、サッカーボールが転がっていた。
「………あれが?」
「あれで助けてやれる。」
「はぁ…?」
「ま、一回やってみんのが早ぇな。」
ぽんっ、と軽い音がしたと思ったら、死神が大きくなっていた。いや、元の大きさに戻ったのか。
「あいつをじーっと見てろ。目ぇ反らすんじゃねぇぞ!」
そして俺の後ろへと回り込んだ、瞬間。
「取り憑けぇぇぇぇぇ!!!」
背中を思いっきり蹴られた。
「っ!!」
余りの痛さに声も出なかった。俺は勢い良く蹴り飛ばされ、真っ直ぐサッカーボールへと突っ込んだ。
『ってぇ!』
顔から地面に激突し、思わず鼻を押さえて蹲った。
ちくしょう、あの野郎…!何しやがるんだ…!
「何してやがる!さっさと助けやがれ!!」
死神の声が聞こえて、顔を上げる。
けれど、見えるのは子供の靴だけだった。
立ち上がってみても子供の膝までしか見えない。
………は?え?何が起こった…?
「おい!ぼーっとしてんじゃねぇぞ!!」
死神の声が遥か上の方から聞こえる気がする。
空を見上げるように顔を上げると、そこには死神と一緒に2人の人間が。
やたらデカイ巨人みたいな男に、片手で持ち上げられている1人の女の子。
そして、男のもう片方の手が振り上げられる。
「たすけてぇぇぇ!!」
『く、くそぉ!!』
もうやけくそだ。俺は走り出す。
『オラァァァァァ!』
そして思いっきりジャンプした。
「ぐあっ!!」
男の腹にサッカーボールが突っ込んだ。
その衝撃で男の手から女の子は離れて地面に落ちた。
「きゃっ!」
「な、何だ!?」
「い、今、ボールが勝手に飛び上がったぞ!?」
男の後ろ側に立っていた死神は、ニヤニヤ笑いながら言った。
「………だっせぇ。」
サッカーボールは地面に落ち、2、3回弾みながら転がった。
『って!』
俺は男に突っ込んだ反動で、後ろに2、3回転がる羽目になった。
痛みを堪えて目を開けると、青い空が涙で滲んでいた。
『も~………。何なんだよ一体…。』
「よぉ。おつかれさん。」
ガバッと身体をを起こすと、死神が屈み込んで俺を見つめていた。
『お前何しやがるんだ!!いや、何しやがった!!』
「ボールに取り憑いたんだよ。それにしてもダサ過ぎだろ。」
『うるさい!いきなり蹴りやがって!勝手に変なことさせやがって!早く元に戻せ!!』
「離れる。」
『は?』
「は、な、れ、る!」
『………は、な、れ、る。』
すると、身体がふっと楽になった。
「………………。」
「戻ったぞ。」
ゆっくりと自分の身体を見回す。腕、足、背中、胸の砂時計。
周りを見回す。男達はいなくなっていた。
そして子供達は不思議そうにサッカーボールを撫で回していた。
俺は死神を睨み付けた。
「……………今の…何。」
「憑依だよ。ゲーム中の奴に与えられる能力だ。」
「最初に言えよ!」
「そのうち言おうと思ってたんだよ。それにテメェは絶対嫌がると思ったしなぁ。ま、貴重な経験したと思えよ。」
何だそれ。何だそれ。何だそれ。何が貴重な経験だ。こんな経験したくも無かったよ。
「レイ君ー。死神さーん。」
振り返ると、公園の入り口で如月さんが手を振っていた。
「あれ、何で…。」
「俺に任せとけ、テメェはジュースでも買ってこい、って言っといた。」
死神が如月さんの方へ向かったので慌ててついていく。
如月さんは手に缶ジュースを3本抱えていた。
「2人とも大丈夫だった?」
「ま、まぁ、何とか…。」
「そっか、良かった。あれ?死神さん大きくなってる。」
「これがフツーなんだよ。俺、この紫の奴。」
死神は如月さんの手から缶ジュースを一本取った。
「はい。レイ君の分。お疲れ様。」
如月さんがオレンジの缶ジュースを渡してくれた。
「あ、ごめん。ありがとう。」
「良いよ。これ飲んだら出発しようか。」
「うん。」
何処からか、ジュースが浮いてる!と声が聞こえたので、俺達は慌てて公園を出たのだった。
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HN:
日蔭
性別:
女性
自己紹介:
毎日のんびりマイペースに過ごす学生です。
ポケモン、APH、キノの旅、牧場物語、ゼルダの伝説など大好物増殖中。
基本的にキャラ単体萌え。かっこかわいい方に非常に弱い。女の子ならボーイッシュな子がクリティカルヒット。カプに関してはノマカプ萌えですがたまに腐るかもしれない。
現在6つのオリジナル小説を亀更新中。書きたいのいっぱいありすぎてどれも手が回ってない。
絶賛ポケ擬人化再熱中!!デザインが来い。
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