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蔭日向。

気ままに落書きや小説を書いたり萌え語りしています。詳細は『復活しました!』という最古記事に。リンクからオリジナル小説、ポケ擬人化のまとめ記事に飛べます。

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10DAY's Limit 8


「きゃああああああ!」

「!?」

突然の悲鳴に、びくりと身体が震えた。
咄嗟に声のした方を見ると、そこには子供達と3人組の男達がいた。

「ご、ごめんなさいっ!ごめんなさい!」

「ごめんなさいで済むと思ってんのか!?糞餓鬼!」

何があったのか確かめる為、ちょっと近付いてみる。
かなり怖いけど…多分見えないだろうし…大丈夫だ。

「ううっ…。ぐすっ…。た、助けて……。」


真ん中の男に1人の女の子が片手で持ち上げられていた。
残りの子供達はかなり怯えながらその子を見上げている。
公園には他にも数人の人がいたが、皆悲鳴とその光景に驚いているようだった。

「こんなところでギャーギャー騒いで遊びやがって…。」

「ちょっと教えてやった方が良いんじゃねぇの?」

のんびり平和だった公園が、緊張に呑まれていく。

「やぁれやれ。こいつらろくな死に方しねぇな。」

そんな雰囲気を打ち壊したのは楽しそうな声。

「ボールがぶつかっただけなのによぉ。」

「お前…。見てたのか。」

小さい死神が俺の横をふわふわ浮いていた。

「テメェが助けてやれよ。」

「そりゃ、助けてやりたいけど…この身体じゃどうすることも…。」

死神が此方を向いて、ニヤリと笑った。

「あれだ。」

死神が指差したその先には、サッカーボールが転がっていた。

「………あれが?」

「あれで助けてやれる。」

「はぁ…?」

「ま、一回やってみんのが早ぇな。」

ぽんっ、と軽い音がしたと思ったら、死神が大きくなっていた。いや、元の大きさに戻ったのか。

「あいつをじーっと見てろ。目ぇ反らすんじゃねぇぞ!」

そして俺の後ろへと回り込んだ、瞬間。

「取り憑けぇぇぇぇぇ!!!」

背中を思いっきり蹴られた。

「っ!!」

余りの痛さに声も出なかった。俺は勢い良く蹴り飛ばされ、真っ直ぐサッカーボールへと突っ込んだ。





『ってぇ!』

顔から地面に激突し、思わず鼻を押さえて蹲った。
ちくしょう、あの野郎…!何しやがるんだ…!

「何してやがる!さっさと助けやがれ!!」

死神の声が聞こえて、顔を上げる。
けれど、見えるのは子供の靴だけだった。
立ち上がってみても子供の膝までしか見えない。

………は?え?何が起こった…?

「おい!ぼーっとしてんじゃねぇぞ!!」

死神の声が遥か上の方から聞こえる気がする。
空を見上げるように顔を上げると、そこには死神と一緒に2人の人間が。
やたらデカイ巨人みたいな男に、片手で持ち上げられている1人の女の子。
そして、男のもう片方の手が振り上げられる。

「たすけてぇぇぇ!!」

『く、くそぉ!!』

もうやけくそだ。俺は走り出す。

『オラァァァァァ!』

そして思いっきりジャンプした。





「ぐあっ!!」

男の腹にサッカーボールが突っ込んだ。
その衝撃で男の手から女の子は離れて地面に落ちた。

「きゃっ!」

「な、何だ!?」

「い、今、ボールが勝手に飛び上がったぞ!?」

男の後ろ側に立っていた死神は、ニヤニヤ笑いながら言った。

「………だっせぇ。」

サッカーボールは地面に落ち、2、3回弾みながら転がった。





『って!』

俺は男に突っ込んだ反動で、後ろに2、3回転がる羽目になった。
痛みを堪えて目を開けると、青い空が涙で滲んでいた。

『も~………。何なんだよ一体…。』

「よぉ。おつかれさん。」

ガバッと身体をを起こすと、死神が屈み込んで俺を見つめていた。

『お前何しやがるんだ!!いや、何しやがった!!』

「ボールに取り憑いたんだよ。それにしてもダサ過ぎだろ。」

『うるさい!いきなり蹴りやがって!勝手に変なことさせやがって!早く元に戻せ!!』

「離れる。」

『は?』

「は、な、れ、る!」

『………は、な、れ、る。』

すると、身体がふっと楽になった。



「………………。」

「戻ったぞ。」

ゆっくりと自分の身体を見回す。腕、足、背中、胸の砂時計。
周りを見回す。男達はいなくなっていた。
そして子供達は不思議そうにサッカーボールを撫で回していた。

俺は死神を睨み付けた。

「……………今の…何。」

「憑依だよ。ゲーム中の奴に与えられる能力だ。」

「最初に言えよ!」

「そのうち言おうと思ってたんだよ。それにテメェは絶対嫌がると思ったしなぁ。ま、貴重な経験したと思えよ。」

何だそれ。何だそれ。何だそれ。何が貴重な経験だ。こんな経験したくも無かったよ。

「レイ君ー。死神さーん。」

振り返ると、公園の入り口で如月さんが手を振っていた。

「あれ、何で…。」

「俺に任せとけ、テメェはジュースでも買ってこい、って言っといた。」

死神が如月さんの方へ向かったので慌ててついていく。
如月さんは手に缶ジュースを3本抱えていた。

「2人とも大丈夫だった?」

「ま、まぁ、何とか…。」

「そっか、良かった。あれ?死神さん大きくなってる。」

「これがフツーなんだよ。俺、この紫の奴。」

死神は如月さんの手から缶ジュースを一本取った。

「はい。レイ君の分。お疲れ様。」

如月さんがオレンジの缶ジュースを渡してくれた。

「あ、ごめん。ありがとう。」

「良いよ。これ飲んだら出発しようか。」

「うん。」

何処からか、ジュースが浮いてる!と声が聞こえたので、俺達は慌てて公園を出たのだった。
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自己紹介:
毎日のんびりマイペースに過ごす学生です。
ポケモン、APH、キノの旅、牧場物語、ゼルダの伝説など大好物増殖中。
基本的にキャラ単体萌え。かっこかわいい方に非常に弱い。女の子ならボーイッシュな子がクリティカルヒット。カプに関してはノマカプ萌えですがたまに腐るかもしれない。
現在6つのオリジナル小説を亀更新中。書きたいのいっぱいありすぎてどれも手が回ってない。
絶賛ポケ擬人化再熱中!!デザインが来い。

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