蔭日向。
気ままに落書きや小説を書いたり萌え語りしています。詳細は『復活しました!』という最古記事に。リンクからオリジナル小説、ポケ擬人化のまとめ記事に飛べます。
10DAY's Limit 7
- 2012/02/29 (Wed)
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可愛い鳥のさえずりが聞こえる。もう朝か…。起きないと…。
「オラーーー!!!朝だぞ!!とっとと起きやがれ!!」
「わっ!」
一気に目が冴えてしまった。いきなり耳元で叫ぶなんて最悪な起こされ方だ。
「朝からうるさいだろ!」
「テメェがさっさと起きねぇからだろが!自業自得だな!」
「今起きようとしてたんだよ!」
朝から元気よく言い争いをしていると、部屋のドアがノックされた。
「レイ君と死神さん、おはよう。」
声で分かる。如月さんだ。
「朝ごはん出来たから食べて。下で待ってるからねー。」
階段を降りていく音が聞こえた。わざわざ作ってくれたのに待たせるなんていけない。早く降りなければ。………って、ちょっと待てよ。
「…なぁ、この身体でご飯って食べれるのか?」
「さぁな。やってみればいいだろが。」
「分からないのかよ!」
「俺は半幽霊状態の奴なんかと一緒に飯食ったことねぇからな。」
…食べれなかったらどうしよう。
下へ降りると、既にダイニングに美味しそうな朝食が3人分並べられていていた。
「口に合えば良いんだけど…。」
「なかなか美味そうじゃねーか。食べてやるよ。」
そう言うと死神は手掴みでパンを引き契って食べ始めた。
小さいままなので、パンは死神とおなじくらいの大きさがある。
机の上に胡坐をかいて、両手でパンを削っていくその様は、とてつもなく行儀が悪いのに、大きさのせいで可愛く見えてしまう。
「レイ君もどうぞ。」
「あ、あぁ、うん…。い、頂きます。」
恐る恐るスープを口に運んでみる。
「…………美味しい。」
「本当?良かった。」
た、食べれた…。良かった。幽霊ってご飯食べれるのか。そういえば天国には豪華なご馳走があるって聞くしな。…いや、俺は幽霊じゃないけど。
「ねぇ、今日はどうするの?」
如月さんは朝食を食べながら死神に聞いた。
「そーだな。この辺を適当にぶらついてみるか。こいつに何か変化あるかもしれねぇし。」
「じゃあ、私が案内してあげるよ。この町の中だけでいい?」
「そーだな。多分それでいいだろ。」
「分かった!とびきりの場所に連れていってあげるね。」
如月さんは随分俺に協力的だ。昨日も寝る前までたくさん話をした。
今はお盆休みも過ぎた8月の半ば。
如月さんの学校は今は夏休みらしいが、昨日は部活があったらしい。
引っ越して去年の春からこの町に住むことになり、両親は忙しい人なのでなかなか家にも帰って来ないとのこと。
だけど全然寂しくはないそうだ。見かけによらず強い子なんだな、と思った。
如月さんが一部の記憶を無くしたのはつい最近らしい。
気が付いたら病院にいて、でも軽傷で済んだのですぐに退院出来たそうだ。
何か大切なものを忘れている気がして、両親に尋ねてみたが曖昧にはぐらかされてしまったそうだ。
「でも、本当に本当に大切なことだった気がするの。絶対に思い出さないといけない気がするの。」
そう言った如月さんの辛そうな顔が、その後しばらく頭から離れなかった。
朝食の後、如月さんの案内で町を巡る。
同じような家が続く住宅路を行き、しばらくすると大きな学校の前を通る。
如月さんの通っている学校らしい。見た感じ、お嬢様学校って感じだけどそうでもないらしい。
この町に学校は此処しかなく、もしかしたらテメェもここに通ってたんじゃねーのかと死神に言われたが、何も思い出せなかった。
そもそも、俺は学生だったのだろうか。
学校を通り過ぎて、駅前の商店街へ。
いろんな店が並んでいて、夏休みということもあるのか、子供や学生らしい人が多かった。
死神は見るもの珍しいそうで、辺りをあっちこっちせわしなく浮遊していた。
俺は如月さん以外の人に見えてしまって騒がれたらどうしようと思ったが、全然見向きもされなかった。
幽霊の見える人なんてなかなかいないんだな。当たり前か。
如月さんはすいすいと商店街を抜けていく。
食品とかの買い物以外ではなかなか来ないそうで、あまり遊んだこともないそうだ。
如月さんに話し掛ける人は、誰もいなかった。
駅はあまり大きくない、路線4本くらいのものだった。
如月さんは歩くのが好きで、一駅くらいの距離ならば、なかなかバスや電車は利用しないらしい。
両親がたまに会社から離れて帰って来るような時は、如月さんが駅まで迎えに行って外食にでも行くんだそうだ。
親を待っている時によくお世話になっているんだよ、と如月さんは駅前の広場にあるベンチに座った。
勧められたので、俺も隣に座ってみた。駅全体が良く見えた。
踏切を渡ると、また住宅街。
でも駅近くなのでアパートが多い気がする。
犬の散歩をしていた人とすれ違ったとき、犬に吠えられた。
一瞬本気でびっくりした。動物は人間に見えないものが見えているって聞くけど、本当にそうだったのか。
死神がなんだようっせーな!と犬に怒り、もっと吠えられた。
如月さんが飼い主に謝られ、犬は叱られていたが、犬は全く悪くないと思った。
噴水のある綺麗な公園に着いたので、一休みすることにした。
小さな子供達が元気よく走り回るのをぼんやりと見ていた。
子供って霊感とか強いことがあるらしいが、全く気付かれない。
サッカーに夢中だったってこともあるのかもしれないけど。
「レイ君、楽しい?」
ふと、如月さんが横から顔を覗いてきた。ちょ、ちょっと顔が近い…。
「あ、あの、…うん。楽しいよ。」
「私も何だか凄く楽しいんだ。」
「そ、そっか…。それなら良いんだけど。わざわざ町案内なんて疲れるだろうし、申し訳ないなって思ってたから…。」
「私は全然大丈夫だよ。散歩好きだし。あとちょっと休憩したらまた歩こうね。」
如月さんは微笑んだ後、喉が渇いたとか言って水を飲みに行っていた死神の元へと走っていった。
俺は鼓動が少し速くなっていた心臓を落ち着ける為に、長く息を吐いた。その時。
「きゃああああああ!」
公園に高い悲鳴が響き渡った。
「オラーーー!!!朝だぞ!!とっとと起きやがれ!!」
「わっ!」
一気に目が冴えてしまった。いきなり耳元で叫ぶなんて最悪な起こされ方だ。
「朝からうるさいだろ!」
「テメェがさっさと起きねぇからだろが!自業自得だな!」
「今起きようとしてたんだよ!」
朝から元気よく言い争いをしていると、部屋のドアがノックされた。
「レイ君と死神さん、おはよう。」
声で分かる。如月さんだ。
「朝ごはん出来たから食べて。下で待ってるからねー。」
階段を降りていく音が聞こえた。わざわざ作ってくれたのに待たせるなんていけない。早く降りなければ。………って、ちょっと待てよ。
「…なぁ、この身体でご飯って食べれるのか?」
「さぁな。やってみればいいだろが。」
「分からないのかよ!」
「俺は半幽霊状態の奴なんかと一緒に飯食ったことねぇからな。」
…食べれなかったらどうしよう。
下へ降りると、既にダイニングに美味しそうな朝食が3人分並べられていていた。
「口に合えば良いんだけど…。」
「なかなか美味そうじゃねーか。食べてやるよ。」
そう言うと死神は手掴みでパンを引き契って食べ始めた。
小さいままなので、パンは死神とおなじくらいの大きさがある。
机の上に胡坐をかいて、両手でパンを削っていくその様は、とてつもなく行儀が悪いのに、大きさのせいで可愛く見えてしまう。
「レイ君もどうぞ。」
「あ、あぁ、うん…。い、頂きます。」
恐る恐るスープを口に運んでみる。
「…………美味しい。」
「本当?良かった。」
た、食べれた…。良かった。幽霊ってご飯食べれるのか。そういえば天国には豪華なご馳走があるって聞くしな。…いや、俺は幽霊じゃないけど。
「ねぇ、今日はどうするの?」
如月さんは朝食を食べながら死神に聞いた。
「そーだな。この辺を適当にぶらついてみるか。こいつに何か変化あるかもしれねぇし。」
「じゃあ、私が案内してあげるよ。この町の中だけでいい?」
「そーだな。多分それでいいだろ。」
「分かった!とびきりの場所に連れていってあげるね。」
如月さんは随分俺に協力的だ。昨日も寝る前までたくさん話をした。
今はお盆休みも過ぎた8月の半ば。
如月さんの学校は今は夏休みらしいが、昨日は部活があったらしい。
引っ越して去年の春からこの町に住むことになり、両親は忙しい人なのでなかなか家にも帰って来ないとのこと。
だけど全然寂しくはないそうだ。見かけによらず強い子なんだな、と思った。
如月さんが一部の記憶を無くしたのはつい最近らしい。
気が付いたら病院にいて、でも軽傷で済んだのですぐに退院出来たそうだ。
何か大切なものを忘れている気がして、両親に尋ねてみたが曖昧にはぐらかされてしまったそうだ。
「でも、本当に本当に大切なことだった気がするの。絶対に思い出さないといけない気がするの。」
そう言った如月さんの辛そうな顔が、その後しばらく頭から離れなかった。
朝食の後、如月さんの案内で町を巡る。
同じような家が続く住宅路を行き、しばらくすると大きな学校の前を通る。
如月さんの通っている学校らしい。見た感じ、お嬢様学校って感じだけどそうでもないらしい。
この町に学校は此処しかなく、もしかしたらテメェもここに通ってたんじゃねーのかと死神に言われたが、何も思い出せなかった。
そもそも、俺は学生だったのだろうか。
学校を通り過ぎて、駅前の商店街へ。
いろんな店が並んでいて、夏休みということもあるのか、子供や学生らしい人が多かった。
死神は見るもの珍しいそうで、辺りをあっちこっちせわしなく浮遊していた。
俺は如月さん以外の人に見えてしまって騒がれたらどうしようと思ったが、全然見向きもされなかった。
幽霊の見える人なんてなかなかいないんだな。当たり前か。
如月さんはすいすいと商店街を抜けていく。
食品とかの買い物以外ではなかなか来ないそうで、あまり遊んだこともないそうだ。
如月さんに話し掛ける人は、誰もいなかった。
駅はあまり大きくない、路線4本くらいのものだった。
如月さんは歩くのが好きで、一駅くらいの距離ならば、なかなかバスや電車は利用しないらしい。
両親がたまに会社から離れて帰って来るような時は、如月さんが駅まで迎えに行って外食にでも行くんだそうだ。
親を待っている時によくお世話になっているんだよ、と如月さんは駅前の広場にあるベンチに座った。
勧められたので、俺も隣に座ってみた。駅全体が良く見えた。
踏切を渡ると、また住宅街。
でも駅近くなのでアパートが多い気がする。
犬の散歩をしていた人とすれ違ったとき、犬に吠えられた。
一瞬本気でびっくりした。動物は人間に見えないものが見えているって聞くけど、本当にそうだったのか。
死神がなんだようっせーな!と犬に怒り、もっと吠えられた。
如月さんが飼い主に謝られ、犬は叱られていたが、犬は全く悪くないと思った。
噴水のある綺麗な公園に着いたので、一休みすることにした。
小さな子供達が元気よく走り回るのをぼんやりと見ていた。
子供って霊感とか強いことがあるらしいが、全く気付かれない。
サッカーに夢中だったってこともあるのかもしれないけど。
「レイ君、楽しい?」
ふと、如月さんが横から顔を覗いてきた。ちょ、ちょっと顔が近い…。
「あ、あの、…うん。楽しいよ。」
「私も何だか凄く楽しいんだ。」
「そ、そっか…。それなら良いんだけど。わざわざ町案内なんて疲れるだろうし、申し訳ないなって思ってたから…。」
「私は全然大丈夫だよ。散歩好きだし。あとちょっと休憩したらまた歩こうね。」
如月さんは微笑んだ後、喉が渇いたとか言って水を飲みに行っていた死神の元へと走っていった。
俺は鼓動が少し速くなっていた心臓を落ち着ける為に、長く息を吐いた。その時。
「きゃああああああ!」
公園に高い悲鳴が響き渡った。
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女性
自己紹介:
毎日のんびりマイペースに過ごす学生です。
ポケモン、APH、キノの旅、牧場物語、ゼルダの伝説など大好物増殖中。
基本的にキャラ単体萌え。かっこかわいい方に非常に弱い。女の子ならボーイッシュな子がクリティカルヒット。カプに関してはノマカプ萌えですがたまに腐るかもしれない。
現在6つのオリジナル小説を亀更新中。書きたいのいっぱいありすぎてどれも手が回ってない。
絶賛ポケ擬人化再熱中!!デザインが来い。
ポケモン、APH、キノの旅、牧場物語、ゼルダの伝説など大好物増殖中。
基本的にキャラ単体萌え。かっこかわいい方に非常に弱い。女の子ならボーイッシュな子がクリティカルヒット。カプに関してはノマカプ萌えですがたまに腐るかもしれない。
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