蔭日向。
気ままに落書きや小説を書いたり萌え語りしています。詳細は『復活しました!』という最古記事に。リンクからオリジナル小説、ポケ擬人化のまとめ記事に飛べます。
ラビット・アドベンチャー 2
- 2012/02/28 (Tue)
- novel |
- CM(0) |
- Edit |
- ▲Top
暖かい光を浴びて輝く、緑一色の大地。
たまに心地よい風が大地に吹けば、
足首までの短い草が揺れ、緑の波が生まれる。
ぽつぽつと立っている木が波の形を少しだけ歪め、
大地に不定形な波を作り出す。
その様は、まるで緑の海のようだった。
波が通り過ぎた木の下に、2人の少年が立っていた。
2人はTシャツの色以外全く同じ格好をしている。
「次はあの木だ。」
かろうじて見える木を右手で指差しながら、白いTシャツを着た少年が言った。
「はぁ…。」
黒いTシャツを着た少年は、疲れたようにため息をついた。
「木を目印にしなきゃまともに進めないとは思ってたけど…。こんなに面倒だとは思ってなかったぜ…」
「仕方ないさ。広い草原で方向が分からなくなったら終わりだよ」
「わかってるよそんなこと。だけど、やっぱ面倒だろ?」
「…面倒だけど仕方ないさ。出発したばかりで面倒面倒言ってたらこれ以上進めないよ。」
「そうだけど…。面倒なものを面倒って言うのは当然だろ?あの木に着いたら次の木を見つけて、次の木に着いたらまた次の木を見つけて…。あー…面倒だ」
「…だから、面倒だけど、仕方ないさ。」
進歩のない会話をしながら、2人は延々と続く果てしない草原をゆっくり慎重に進んでいた。
やがて、2人の目の前に草以外の風景が映った。
「あ、川だ。」
「やれやれ…。ちょっと休もうぜ。」
「そうだね。後は川沿いに行けば森に着けるだろうし。」
「何か精神削られるな…。ホントにこの草原はただただ広いだけだよなー。動物もいないし、変わった物も無いし。」
卯月は右手に持っていたコンパスをリュックにしまった。
「『迷いの草原』って言われるだけあるってことさ。」
2人がいる草原は、島の住民から『迷いの草原』と呼ばれている。
そこは、足首までの草と青い空がただただ続く世界。
そのうち方角が分からなくなり、草原から抜け出すことが出来なくなってしまう。
ぽつぽつと生える木は万が一、迷い込んでしまったときの唯一の道しるべ。
しかしその道が何処へ通じているのかは、誰にも分からない。
そんな草原を2人が突破しなければいけないのには訳がある。
「これで誰にもばれずに森まで行けるんだな!」
「いくら朝早くたって、誰かに会えば新菜に伝わるかもしれないからな…。」
2人が目指す森はこの草原を越えずとも、大きく迂回すれば辿り着ける。
島の住民達が草原に入らない為に作られた、普通の道があるからだ。
しかし2人は島の住民達に見られるのを避ける為、
真っ直ぐ草原を突っ切って進んで来たのだった。
「…何か女1人の為にここまでする俺らってダサくね?」
「え?そうかな…。」
「だって何しても何処行っても、心配させないってくらいの方が格好いいだろ。」
「………………。」
「それほど強いって言うか、頼れるって言うか…。」
「黒兎、それ以上言わないで………。」
黒兎が卯月を見ると、卯月は体操座りをして頭を抱えていた。
「………本気でへこむなよ…。」
その後何とか気を奮い足せ、2人は川沿いを森へと向かい歩き出すのだった。
ちょうどその頃。
卯月の家に1人の少女がやって来た。
「卯月ー。おはよー。」
白いワンピースの上に、薄い橙色のエプロンを着けている。
その手には大きめのバスケットが握られていた。
背中まである長く黒い髪。
頭の横には大きな赤いリボン。
大きな瞳は綺麗な桃色をしている。
「卯月ー?いないの?」
少女はドアノブを回してみるが、鍵が掛かっていてドアは開かなかった。
「朝早くから何処行ったんだろう…。」
残念そうに肩を落とし、バスケットに被せてあった赤いチェック柄の布を捲る。
バスケットの中には焼きたてでまだ少し熱を持った、美味しそうなパンが入っていた。
「…勿体ないから黒兎にあげにいこう!」
布を元に戻し、少女は黒兎の家へと駆け出した。
たまに心地よい風が大地に吹けば、
足首までの短い草が揺れ、緑の波が生まれる。
ぽつぽつと立っている木が波の形を少しだけ歪め、
大地に不定形な波を作り出す。
その様は、まるで緑の海のようだった。
波が通り過ぎた木の下に、2人の少年が立っていた。
2人はTシャツの色以外全く同じ格好をしている。
「次はあの木だ。」
かろうじて見える木を右手で指差しながら、白いTシャツを着た少年が言った。
「はぁ…。」
黒いTシャツを着た少年は、疲れたようにため息をついた。
「木を目印にしなきゃまともに進めないとは思ってたけど…。こんなに面倒だとは思ってなかったぜ…」
「仕方ないさ。広い草原で方向が分からなくなったら終わりだよ」
「わかってるよそんなこと。だけど、やっぱ面倒だろ?」
「…面倒だけど仕方ないさ。出発したばかりで面倒面倒言ってたらこれ以上進めないよ。」
「そうだけど…。面倒なものを面倒って言うのは当然だろ?あの木に着いたら次の木を見つけて、次の木に着いたらまた次の木を見つけて…。あー…面倒だ」
「…だから、面倒だけど、仕方ないさ。」
進歩のない会話をしながら、2人は延々と続く果てしない草原をゆっくり慎重に進んでいた。
やがて、2人の目の前に草以外の風景が映った。
「あ、川だ。」
「やれやれ…。ちょっと休もうぜ。」
「そうだね。後は川沿いに行けば森に着けるだろうし。」
「何か精神削られるな…。ホントにこの草原はただただ広いだけだよなー。動物もいないし、変わった物も無いし。」
卯月は右手に持っていたコンパスをリュックにしまった。
「『迷いの草原』って言われるだけあるってことさ。」
2人がいる草原は、島の住民から『迷いの草原』と呼ばれている。
そこは、足首までの草と青い空がただただ続く世界。
そのうち方角が分からなくなり、草原から抜け出すことが出来なくなってしまう。
ぽつぽつと生える木は万が一、迷い込んでしまったときの唯一の道しるべ。
しかしその道が何処へ通じているのかは、誰にも分からない。
そんな草原を2人が突破しなければいけないのには訳がある。
「これで誰にもばれずに森まで行けるんだな!」
「いくら朝早くたって、誰かに会えば新菜に伝わるかもしれないからな…。」
2人が目指す森はこの草原を越えずとも、大きく迂回すれば辿り着ける。
島の住民達が草原に入らない為に作られた、普通の道があるからだ。
しかし2人は島の住民達に見られるのを避ける為、
真っ直ぐ草原を突っ切って進んで来たのだった。
「…何か女1人の為にここまでする俺らってダサくね?」
「え?そうかな…。」
「だって何しても何処行っても、心配させないってくらいの方が格好いいだろ。」
「………………。」
「それほど強いって言うか、頼れるって言うか…。」
「黒兎、それ以上言わないで………。」
黒兎が卯月を見ると、卯月は体操座りをして頭を抱えていた。
「………本気でへこむなよ…。」
その後何とか気を奮い足せ、2人は川沿いを森へと向かい歩き出すのだった。
ちょうどその頃。
卯月の家に1人の少女がやって来た。
「卯月ー。おはよー。」
白いワンピースの上に、薄い橙色のエプロンを着けている。
その手には大きめのバスケットが握られていた。
背中まである長く黒い髪。
頭の横には大きな赤いリボン。
大きな瞳は綺麗な桃色をしている。
「卯月ー?いないの?」
少女はドアノブを回してみるが、鍵が掛かっていてドアは開かなかった。
「朝早くから何処行ったんだろう…。」
残念そうに肩を落とし、バスケットに被せてあった赤いチェック柄の布を捲る。
バスケットの中には焼きたてでまだ少し熱を持った、美味しそうなパンが入っていた。
「…勿体ないから黒兎にあげにいこう!」
布を元に戻し、少女は黒兎の家へと駆け出した。
PR
カレンダー
フリーエリア
最新コメント
[04/02 日蔭]
[04/02 クロウサギ]
[02/21 日蔭]
[02/21 ぬい華]
[12/22 クロウサギ]
最新記事
最新トラックバック
プロフィール
HN:
日蔭
性別:
女性
自己紹介:
毎日のんびりマイペースに過ごす学生です。
ポケモン、APH、キノの旅、牧場物語、ゼルダの伝説など大好物増殖中。
基本的にキャラ単体萌え。かっこかわいい方に非常に弱い。女の子ならボーイッシュな子がクリティカルヒット。カプに関してはノマカプ萌えですがたまに腐るかもしれない。
現在6つのオリジナル小説を亀更新中。書きたいのいっぱいありすぎてどれも手が回ってない。
絶賛ポケ擬人化再熱中!!デザインが来い。
ポケモン、APH、キノの旅、牧場物語、ゼルダの伝説など大好物増殖中。
基本的にキャラ単体萌え。かっこかわいい方に非常に弱い。女の子ならボーイッシュな子がクリティカルヒット。カプに関してはノマカプ萌えですがたまに腐るかもしれない。
現在6つのオリジナル小説を亀更新中。書きたいのいっぱいありすぎてどれも手が回ってない。
絶賛ポケ擬人化再熱中!!デザインが来い。
この記事へのコメント