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蔭日向。

気ままに落書きや小説を書いたり萌え語りしています。詳細は『復活しました!』という最古記事に。リンクからオリジナル小説、ポケ擬人化のまとめ記事に飛べます。

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10DAY's Limit 6


「なぁ、それ学校の制服だろ?学校行く途中とかじゃなかったの?大丈夫?」

俺は如月さんが着ている服を見ながら尋ねた。声をかけてくれたのに色々驚いていたせいで、今まで気が回らなかった。結構話し込んでしまったけど、遅刻寸前だったりしないだろうか。

「大丈夫だよ。本当は登校日で学校に行くはずだったけど…。」

「いや、それ大丈夫じゃないじゃん!遅刻じゃん!」

「もう今日は行く気がしないから。」

「サボりかぁ?可愛い顔して以外とやるじゃねぇか。お前、食われても知らねぇぞ。」

「あー、こいつは無視していいから。」

「んだと、やんのかコラァ!」

耳元でうるさく騒ぐ死神と睨み合っていたら、如月さんが嬉しそうに笑った。

「だって、素敵な出会いをしちゃったんだもん。」

その、誰が見ても可憐な笑顔に、思わず見とれてしまう。
こんな可愛い子といて、俺は真面目に自分の記憶を取り戻すことは出来るのだろうか。



「あ、そうだ。幽霊さんは…。」

如月さんは俺に何かを言いかけて、うーん…と何か考え始めた。

「幽霊さん…じゃ呼びにくいね。何て呼んだらいいかな?」

可愛らしく首を少しだけ傾けて聞いてきたが、俺は自分の名前を覚えていないので返答に詰まった。しかし、死んでもいないので幽霊と呼ばれ続けるのも何か嫌だ。

「如月さんの好きに呼んでいいよ。」

「本当?じゃあ…レイ君で。」

ふふふ、と嬉しそうに笑っている如月さんには悪いが、何だろう…違和感がする。俺の本当の名前ではないからか…?そうなんだろうな。

「レイ君の友達?私、こんなに小さな幽霊さんは初めて見たよ。」

「だから、俺は幽霊じゃねぇ!!!ついでにコイツの友達でもねぇ!!!」

俺は顔をしかめる。耳元で叫ばないで欲しい。あと、俺だってお前なんかと友達になりたくないし。

「俺は死神だ。」

死神はへへん、と何か偉そうに自己紹介をした。って、それバラしちゃうのか。大丈夫なのかよ、おい。如月さんきょとんとしてるし。

「俺はコイツが記憶を取り戻すか、タイムアップで死ぬかしないと仕事終わんねぇ。ここで知り合ったのも何かの縁だろ。俺のために協力して貰うぞ。」

コイツペラペラとなんてことを。
果てしなくムカついたので、肩にいる死神をつまみ上げてみた。

「何すんだてめぇ!!」

じたばたと暴れ出した死神。ざまーみろ。偉そうな態度とってるからだ。

「死神って本当にいるんだね。」

「当たり前だろ。俺達がいなかったらあの世はめちゃめちゃだぜぇ?」

俺に摘まれたままの死神がぐるりと振り向いて俺を見た。上目使いだがちっとも可愛くない。

「お前も俺が居なかったらあのまま永遠に彷徨ってただろーなぁ。感謝するんだなぁ。」

「………アリガトウ。」

果てしなくムカついたが取り敢えず礼を言った。超棒読みだけど、礼を言うだけでも俺は寛大な奴だ。別にナルシストではない。
そんな俺達を見て如月さんはクスクス笑った。

「ねぇ、2人ともこれからどうするの?」

「うーん…。どうするって言われてもなぁ…。」

記憶なんてぽんぽん簡単に思い出せるものじゃないだろう。何かよくある小説とか映画でも、なかなか思い出せなくてやきもきするし。

「死んだ場所に来ても思い出せねぇし、運良く人に会っても思い出せねぇし、もう打つ手ねぇよ。」

さっきまでイケイケだった死神も諦めモードだ。
依然として俺に摘まれたままの死神は如月さんの方を向きなおした。

「つーか、疲れた。お前の家に連れてけ。休ませろ。」

死神にも疲れってあるんだ。…ってそうじゃなくて!

「何言ってんだよ!如月さんに迷惑かけるな!」

「じゃあさっさとてめぇの家でも思い出せ!それとも、俺にその辺の外で寝ろって言うのかぁ!?」

「お前何様だよ!さっき会った人の家に行こうなんて図々しいにも程があるだろ!」

「私は別にいいよ。」

「ええ!?」

「レイ君と死神さんに協力するって決めたしね。」

何なんだ。如月さんっていい人過ぎるだろう。可愛くて性格もいいなんて無敵じゃないか。

「あ…ありがとう。」

「どういたしまして!私の家はこっちだよ。」

そう言って歩き出した如月さんに憑いて…じゃない、ついて行こうとしたら死神が再び俺を見上げた。

「おい!てめぇ、いい加減離せ!!」
















「此処だよ。」

「ふーん。割とデカイし綺麗な家じゃねぇか。悪くねぇな。」

「ありがとう。どうぞ上がって。」

「お邪魔するぜー。」

「………レイ君?どうしたの?」

俺は如月さんに呼び掛けられて、はっとした。

「ああ!ごめん。…お邪魔します。」

何だろう。この感じ。
俺はこの家見たことあるような気がする。
住宅街だし、似たような家は他にもたくさんあるのに。
如月さんの家だけ、何だか特別な存在に見えた。

「去年からお兄ちゃんが一人暮らし始めたから部屋も空いてるよ。ちょっと片付けて来るから、そこ自由に使っていいからね。」

「何かごめんな…。いろいろ。」

「大丈夫だよ。レイ君もゆっくりしてていいからね。」

如月さんはリビングを手で示すと二階へと階段を上がっていった。
玄関で靴を脱ぐべきかちょっと迷ったが、一応脱いで手に持っておくことにした。
リビングへ入ると既に、死神が大きなソファーの上をごろごろ転がっていた。
その様子に呆れるのと、何だか今までの訳の分からないことに疲れたのも合わさって、俺は大きなため息をついたのだった。
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自己紹介:
毎日のんびりマイペースに過ごす学生です。
ポケモン、APH、キノの旅、牧場物語、ゼルダの伝説など大好物増殖中。
基本的にキャラ単体萌え。かっこかわいい方に非常に弱い。女の子ならボーイッシュな子がクリティカルヒット。カプに関してはノマカプ萌えですがたまに腐るかもしれない。
現在6つのオリジナル小説を亀更新中。書きたいのいっぱいありすぎてどれも手が回ってない。
絶賛ポケ擬人化再熱中!!デザインが来い。

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