蔭日向。
気ままに落書きや小説を書いたり萌え語りしています。詳細は『復活しました!』という最古記事に。リンクからオリジナル小説、ポケ擬人化のまとめ記事に飛べます。
10DAY's Limit 3
それからしばらく死神の質問責めにあい、俺は一部の記憶を無くしている事が分かった。
覚えているのは、常識的なことや、これまで生きていた時の俺が得ただろう知識だけ。俺自身のことは一切覚えていない。
今は何時なのか?
どこで暮らしていたのか?
家族はいたのか?
何をしていたのか?
どうして死んだのか?
何にも思い出せない。何だか頭の中が真っ白で不思議な感じ。
死神はさっきからばつの悪そうな顔をして、真っ黒な携帯電話らしきもので誰かと話していた。
「……はい。……はい。…まぁ、そうですね。恐らく。……はい。」
何かこいつが敬語使ってるの似合わないなー。とか思いながら死神をぼーっと見ていたら、ふと、死神が横目で俺を睨み付けてきた。
「………ちっ。」
舌打ちされた。記憶を無くして困っている人にすることじゃないだろう。かなりムカついた。
「……仕方ないですね。そうしますよ。……分かってますよ。はぁ……。」
ため息つかれた。もっとムカついた。
「……はいはい。それじゃ。……分かってますって。……本当。……はい。……はいはい。じゃ。」
最後はダルそうに電話?を切った。そして黒服の中にしまった。あの変な服の中どうなってんだろう。
「おいお前。」
再び睨み付けられた。ムカついたので睨み返しながら答えた。
「何?」
「本当に何にも覚えてないんだろーな?」
「しつこい。」
この質問、もう何回したんだよ。いい加減信じてくれてもいいものだが。そんなに俺の言う事には説得力がないのか。…いや、「記憶がないです」とか言われてすんなり信じられる方がおかしいか。
「ふーん…。」
ようやく信じてくれたか。けど俺をじろじろと見る死神の目付きを見る限りでは半信半疑といったところだろうか。
ふと目が合うと、死神はにやりと笑った。
「…お前、可哀想な奴だなぁ。」
可哀想とか言ってくれてる割りには顔笑ってるけど。馬鹿にしてんのか。
「そんな存在になっちまったって、良い事なんてないぜ?」
「はぁ?」
「生きてもいない、死んでもいない。中途半端な存在になったんだよ。」
「…え?」
「素直に死んじまった方が簡単だったのになぁ。」
「ち、ちょっと待て!!」
「なんだよ?」
「俺、死んでないの!?まだ生きてんの!?」
「ま、死んではないけど。」
「………。」
何も言えなくなって、力も抜けて、俺はその場に座り込んだ。
「どした?」
「………。」
嬉しいのか、悲しいのか、安心したのか、不安なのか、よく分からない感情が俺を包み込んだ。記憶がないせいかもしれない。
「生きてるの…俺…?だけど、何でこんなとこに…?」
普通に生きていれば、こんな真っ暗闇の空間に来る事なんてないだろう。しかも死神もいるし。
「今のお前は生きてもいないんだよ。」
「どういうこと?」
「よく分かんねぇけど、多分、死にかけてるってとこだな。死にかけて意識がなくなってんだ。」
「い、意識不明ってこと?」
「そっ。しかもその意識は戻るべき主人の事をすっかり忘れて、こんなとこまで流れ着いちまった。…そうだろ?」
「いや、そうだろ?って聞かれても、記憶ないし分からない。」
「たまーにいるんだよ。お前みたいな馬鹿な奴。」
「馬鹿!?」
「大馬鹿だろ!さっさと思い出して主人のとこに帰れば、こんなとこに来なくても済んだのになぁ!」
ケラケラと笑い声をあげる死神にとてつもない苛立ちを覚えた。
「何だよ!別に来たくて来たわけじゃないだろ!笑うな!『こんなとこ』って、ここ何処だよ!何で俺、こんな変な所にいるんだよ!何で記憶なくしたんだよ!大体、何で意識不明なんかになってんだよ!」
地味に積もり続けていた苛立ちが爆発して、一気に死神に吐き出しぶつけた。八つ当たりっていうのだろうけど、知ったこっちゃない。
「うるせぇな!!!ギャーギャー騒ぐんじゃねぇ!!!オレが知ってるわけねぇだろが!!!」
「何だよ役立たず!」
「はぁ!?何でオレがそんな事言われなきゃならねーんだ!!!ふざけんな!!!」
「はぁ…はぁ…はぁ…。」
「…ぜぇ…ぜぇ……。」
俺と死神はお互い喉が痛くなるまで散々罵りあった。これだけ他人に罵られたのも、他人を罵ったのも初めてだ。………多分。
「…ったく…。何で…オレが…。くそぅ…。この大馬鹿が…。ぜぇぜぇ…。」
死神は必死に息をしながらもまだ頑張っている。
「はぁ…。はぁ…。」
俺は叫びまくったおかげで先程までのモヤモヤした感じが消えていた。何かすっきりした。
「…なぁ。」
「…ああ?」
「俺は…これからどうしたらいい?」
この死神が教えてくれるはずない。でも聞かずにはいられない。こんな変な所に来てしまって、出会えたのはこの死神だけだ。こいつに頼るしかない。
「…………。」
死神は肩で息をしながら俺を睨んできた。
「俺は…何をすればいいんだ…?」
何が出来るのか、とは聞かない。何か出来るはずだ。そんな気がする。
だって、俺はまだ死んでいない。
俺も睨み返した時、死神の口がニヤリと歪んだ。
「…いい目だ。覚悟はいいか?」
その死神の言葉は訳が分からなかったけれど、俺は頷いてみせた。何でか分からないが、まだ死にたくない。何が何でも生きて帰ってみせる。闘志が俺を包み込んでいく。
「…やってやるさ。」
燃えるような強い思い。強い、想い。
黒い死神が、嬉しそうに笑った。
覚えているのは、常識的なことや、これまで生きていた時の俺が得ただろう知識だけ。俺自身のことは一切覚えていない。
今は何時なのか?
どこで暮らしていたのか?
家族はいたのか?
何をしていたのか?
どうして死んだのか?
何にも思い出せない。何だか頭の中が真っ白で不思議な感じ。
死神はさっきからばつの悪そうな顔をして、真っ黒な携帯電話らしきもので誰かと話していた。
「……はい。……はい。…まぁ、そうですね。恐らく。……はい。」
何かこいつが敬語使ってるの似合わないなー。とか思いながら死神をぼーっと見ていたら、ふと、死神が横目で俺を睨み付けてきた。
「………ちっ。」
舌打ちされた。記憶を無くして困っている人にすることじゃないだろう。かなりムカついた。
「……仕方ないですね。そうしますよ。……分かってますよ。はぁ……。」
ため息つかれた。もっとムカついた。
「……はいはい。それじゃ。……分かってますって。……本当。……はい。……はいはい。じゃ。」
最後はダルそうに電話?を切った。そして黒服の中にしまった。あの変な服の中どうなってんだろう。
「おいお前。」
再び睨み付けられた。ムカついたので睨み返しながら答えた。
「何?」
「本当に何にも覚えてないんだろーな?」
「しつこい。」
この質問、もう何回したんだよ。いい加減信じてくれてもいいものだが。そんなに俺の言う事には説得力がないのか。…いや、「記憶がないです」とか言われてすんなり信じられる方がおかしいか。
「ふーん…。」
ようやく信じてくれたか。けど俺をじろじろと見る死神の目付きを見る限りでは半信半疑といったところだろうか。
ふと目が合うと、死神はにやりと笑った。
「…お前、可哀想な奴だなぁ。」
可哀想とか言ってくれてる割りには顔笑ってるけど。馬鹿にしてんのか。
「そんな存在になっちまったって、良い事なんてないぜ?」
「はぁ?」
「生きてもいない、死んでもいない。中途半端な存在になったんだよ。」
「…え?」
「素直に死んじまった方が簡単だったのになぁ。」
「ち、ちょっと待て!!」
「なんだよ?」
「俺、死んでないの!?まだ生きてんの!?」
「ま、死んではないけど。」
「………。」
何も言えなくなって、力も抜けて、俺はその場に座り込んだ。
「どした?」
「………。」
嬉しいのか、悲しいのか、安心したのか、不安なのか、よく分からない感情が俺を包み込んだ。記憶がないせいかもしれない。
「生きてるの…俺…?だけど、何でこんなとこに…?」
普通に生きていれば、こんな真っ暗闇の空間に来る事なんてないだろう。しかも死神もいるし。
「今のお前は生きてもいないんだよ。」
「どういうこと?」
「よく分かんねぇけど、多分、死にかけてるってとこだな。死にかけて意識がなくなってんだ。」
「い、意識不明ってこと?」
「そっ。しかもその意識は戻るべき主人の事をすっかり忘れて、こんなとこまで流れ着いちまった。…そうだろ?」
「いや、そうだろ?って聞かれても、記憶ないし分からない。」
「たまーにいるんだよ。お前みたいな馬鹿な奴。」
「馬鹿!?」
「大馬鹿だろ!さっさと思い出して主人のとこに帰れば、こんなとこに来なくても済んだのになぁ!」
ケラケラと笑い声をあげる死神にとてつもない苛立ちを覚えた。
「何だよ!別に来たくて来たわけじゃないだろ!笑うな!『こんなとこ』って、ここ何処だよ!何で俺、こんな変な所にいるんだよ!何で記憶なくしたんだよ!大体、何で意識不明なんかになってんだよ!」
地味に積もり続けていた苛立ちが爆発して、一気に死神に吐き出しぶつけた。八つ当たりっていうのだろうけど、知ったこっちゃない。
「うるせぇな!!!ギャーギャー騒ぐんじゃねぇ!!!オレが知ってるわけねぇだろが!!!」
「何だよ役立たず!」
「はぁ!?何でオレがそんな事言われなきゃならねーんだ!!!ふざけんな!!!」
「はぁ…はぁ…はぁ…。」
「…ぜぇ…ぜぇ……。」
俺と死神はお互い喉が痛くなるまで散々罵りあった。これだけ他人に罵られたのも、他人を罵ったのも初めてだ。………多分。
「…ったく…。何で…オレが…。くそぅ…。この大馬鹿が…。ぜぇぜぇ…。」
死神は必死に息をしながらもまだ頑張っている。
「はぁ…。はぁ…。」
俺は叫びまくったおかげで先程までのモヤモヤした感じが消えていた。何かすっきりした。
「…なぁ。」
「…ああ?」
「俺は…これからどうしたらいい?」
この死神が教えてくれるはずない。でも聞かずにはいられない。こんな変な所に来てしまって、出会えたのはこの死神だけだ。こいつに頼るしかない。
「…………。」
死神は肩で息をしながら俺を睨んできた。
「俺は…何をすればいいんだ…?」
何が出来るのか、とは聞かない。何か出来るはずだ。そんな気がする。
だって、俺はまだ死んでいない。
俺も睨み返した時、死神の口がニヤリと歪んだ。
「…いい目だ。覚悟はいいか?」
その死神の言葉は訳が分からなかったけれど、俺は頷いてみせた。何でか分からないが、まだ死にたくない。何が何でも生きて帰ってみせる。闘志が俺を包み込んでいく。
「…やってやるさ。」
燃えるような強い思い。強い、想い。
黒い死神が、嬉しそうに笑った。
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プロフィール
HN:
日蔭
性別:
女性
自己紹介:
毎日のんびりマイペースに過ごす学生です。
ポケモン、APH、キノの旅、牧場物語、ゼルダの伝説など大好物増殖中。
基本的にキャラ単体萌え。かっこかわいい方に非常に弱い。女の子ならボーイッシュな子がクリティカルヒット。カプに関してはノマカプ萌えですがたまに腐るかもしれない。
現在6つのオリジナル小説を亀更新中。書きたいのいっぱいありすぎてどれも手が回ってない。
絶賛ポケ擬人化再熱中!!デザインが来い。
ポケモン、APH、キノの旅、牧場物語、ゼルダの伝説など大好物増殖中。
基本的にキャラ単体萌え。かっこかわいい方に非常に弱い。女の子ならボーイッシュな子がクリティカルヒット。カプに関してはノマカプ萌えですがたまに腐るかもしれない。
現在6つのオリジナル小説を亀更新中。書きたいのいっぱいありすぎてどれも手が回ってない。
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