蔭日向。
気ままに落書きや小説を書いたり萌え語りしています。詳細は『復活しました!』という最古記事に。リンクからオリジナル小説、ポケ擬人化のまとめ記事に飛べます。
空青 1
- 2012/07/08 (Sun)
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空には雲一つ見当たらない。
いつも高過ぎて広過ぎると感じる空だが、この場所からは更に高く広く感じた。
小高い丘から眺める世界は9割が青い世界。
青は心を癒す色だと知ってはいるが、今見える世界は青過ぎた。
高過ぎて広過ぎて青過ぎて、俺には遠過ぎる。
――こんな世界見たくない。
俺はゆっくり目を閉じた。
――ほら、もう何も見えない。
このままゆっくりと夢の世界へ行こうとした。
「ねぇ。」
行けなかった。
誰かが俺を呼んだからだ。
「ねぇ。」
それでも俺が目を開けずにいると、身体が揺さ振られた。
仕方がないのでゆっくり目を開けた。
青い世界に1人の人間が見えた。
視界はまだはっきりしていないので、顔がよく分からない。
「ねぇ、こまってるよ?」
2、3回瞬きをしてようやくはっきりと見えてきた人間は――
「こまってるよ?」
綺麗な藍色の瞳、綺麗な銀色の長い髪。
とても幼い顔立ちをした少女だった。
「………は?」
ようやく反応した青年の肩から手を離し、少女は先程と同じ言葉を繰り返した。
「こまってるよ?」
「何が?」
青年は訳が分からない、と眉を寄せた。
「どいて。」
「はい?」
「どいて、って。」
「何なんだ…。」
青年はゆっくりと上半身を起こした。
その瞬間、
「!!」
青年に向かい矢のようなものが飛んできた。
「っ…!」
咄嗟に腕を上げて防御しようとしたが、
「え?」
青年の動きは途中で止まり、腕を胸の前で構えた姿勢で停止した。
次の瞬間、青年の顔の数センチ横を1羽の鳥が猛烈な速さで横切った。
青年は振り返り、視線を落とした。
さっきまで寝転がっていた黄緑の芝生。
そこに地面を突いている一羽の鳥がいた。
鮮やかな黄色を持ち、羽と尻尾の先だけが燃えているような炎の色をしている。
嘴の先には、背中で押しつぶしていた草の隙間に小さな穴が空いていた。
小さな穴の中には、小さな小さな緑色の卵が入っていた。
「………。」
青年は草で出来た黄緑色の巣から、黄色の鳥に視線を戻した。
黄色の鳥は一度甲高い声で鳴くと、青年の頭の上を通り過ぎ、少女の肩に着地した。
「ぶじでよかったね!」
少女は肩の黄色の鳥にとびきりの笑顔を向けた。
その声に応えるかのように、黄色の鳥はもう一度甲高い声で鳴いた。
「この子、こまってた。こども、つぶされた、って。けど、もう、だいじょうぶ!」
少女は青年に向けてゆっくりと話した。
屈託のない笑顔を向けられて、睡眠を邪魔された青年は眉を寄せて微妙な顔をした。
「そうか。」
青年はそれだけ言うと、ゆっくり立ち上がった。
少女は青年よりほぼ頭一つ分身長が低かった。
「じゃあな。」
青年は一応別れの挨拶をして、少女の脇を通り過ぎ、その場から立ち去ろうとした。
「またね!」
後ろから少女の嬉しそうな声がした。
いつも高過ぎて広過ぎると感じる空だが、この場所からは更に高く広く感じた。
小高い丘から眺める世界は9割が青い世界。
青は心を癒す色だと知ってはいるが、今見える世界は青過ぎた。
高過ぎて広過ぎて青過ぎて、俺には遠過ぎる。
――こんな世界見たくない。
俺はゆっくり目を閉じた。
――ほら、もう何も見えない。
このままゆっくりと夢の世界へ行こうとした。
「ねぇ。」
行けなかった。
誰かが俺を呼んだからだ。
「ねぇ。」
それでも俺が目を開けずにいると、身体が揺さ振られた。
仕方がないのでゆっくり目を開けた。
青い世界に1人の人間が見えた。
視界はまだはっきりしていないので、顔がよく分からない。
「ねぇ、こまってるよ?」
2、3回瞬きをしてようやくはっきりと見えてきた人間は――
「こまってるよ?」
綺麗な藍色の瞳、綺麗な銀色の長い髪。
とても幼い顔立ちをした少女だった。
「………は?」
ようやく反応した青年の肩から手を離し、少女は先程と同じ言葉を繰り返した。
「こまってるよ?」
「何が?」
青年は訳が分からない、と眉を寄せた。
「どいて。」
「はい?」
「どいて、って。」
「何なんだ…。」
青年はゆっくりと上半身を起こした。
その瞬間、
「!!」
青年に向かい矢のようなものが飛んできた。
「っ…!」
咄嗟に腕を上げて防御しようとしたが、
「え?」
青年の動きは途中で止まり、腕を胸の前で構えた姿勢で停止した。
次の瞬間、青年の顔の数センチ横を1羽の鳥が猛烈な速さで横切った。
青年は振り返り、視線を落とした。
さっきまで寝転がっていた黄緑の芝生。
そこに地面を突いている一羽の鳥がいた。
鮮やかな黄色を持ち、羽と尻尾の先だけが燃えているような炎の色をしている。
嘴の先には、背中で押しつぶしていた草の隙間に小さな穴が空いていた。
小さな穴の中には、小さな小さな緑色の卵が入っていた。
「………。」
青年は草で出来た黄緑色の巣から、黄色の鳥に視線を戻した。
黄色の鳥は一度甲高い声で鳴くと、青年の頭の上を通り過ぎ、少女の肩に着地した。
「ぶじでよかったね!」
少女は肩の黄色の鳥にとびきりの笑顔を向けた。
その声に応えるかのように、黄色の鳥はもう一度甲高い声で鳴いた。
「この子、こまってた。こども、つぶされた、って。けど、もう、だいじょうぶ!」
少女は青年に向けてゆっくりと話した。
屈託のない笑顔を向けられて、睡眠を邪魔された青年は眉を寄せて微妙な顔をした。
「そうか。」
青年はそれだけ言うと、ゆっくり立ち上がった。
少女は青年よりほぼ頭一つ分身長が低かった。
「じゃあな。」
青年は一応別れの挨拶をして、少女の脇を通り過ぎ、その場から立ち去ろうとした。
「またね!」
後ろから少女の嬉しそうな声がした。
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HN:
日蔭
性別:
女性
自己紹介:
毎日のんびりマイペースに過ごす学生です。
ポケモン、APH、キノの旅、牧場物語、ゼルダの伝説など大好物増殖中。
基本的にキャラ単体萌え。かっこかわいい方に非常に弱い。女の子ならボーイッシュな子がクリティカルヒット。カプに関してはノマカプ萌えですがたまに腐るかもしれない。
現在6つのオリジナル小説を亀更新中。書きたいのいっぱいありすぎてどれも手が回ってない。
絶賛ポケ擬人化再熱中!!デザインが来い。
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